酒井法子

1、はじめに

編集部A 読者の皆さんこんにちは。月刊精神分析編集部Aです。今、日本で一番ホットな話題と言えば、元清純派アイドルで女優の酒井法子さんに覚せい剤取締法違反(所持)の容疑(現在、東京湾岸警察署に勾留。9月17日保釈)がかかっている事件(現在、立件起訴されている)です。今回の事件分析は東京精神療法研究所のインテグレーター(精神分析家)立木歩実さんにお越し頂いています。どうぞ宜しくお願いします。

のりピー報道

立木歩実 立木です。皆さんこんにちは。宜しくお願いします。

目次へ

2、語り手プロフィール

語り手のプロフィールは以下の通りです。

立木歩実
精神分析家。東京精神療法研究所(神奈川県海老名市)主宰。
1954(S.29)年10月10日生まれ
出身:神奈川県海老名市。二女の母。
尚美音楽専門学校ピアノ学科(東京都文京区)
(現:尚美学園大学 埼玉県川越市)卒業。
kiriko_left☆yahoo.co.jp (☆を@に変えてメール送信願います。スパム対策)

編集部A(へんしゅうぶえー)
月刊精神分析(げっかんせいしんぶんせき)編集部員A
1963(S.38)年3月12日生まれ
出身:福岡県福岡市。
コンピューター会社のシステムエンジニア。食品工場の生産管理業務に従事。
飲食店の経営を経た後、月刊精神分析編集部。
lacan_msl☆yahoo.co.jp (☆を@に変えてメール送信願います。スパム対策)

目次へ

3、酒井法子覚せい剤所持事件の概要

編集部A まず、私から事件の経過を説明します。

8月2日 23:00頃。酒井法子の夫(高相祐一)が渋谷駅ハチ公口側の路上で警官に職務質問を受ける。酒井は夫の携帯電話で呼び出され、知人男性と2人で車で現場にやって来る。しかし、酒井の目の前で夫が覚せい剤取締法違反(所持)で現行犯逮捕され、夫の身柄は渋谷警察署へ送られる。酒井は警察に抗議するが警察側は抗議の受け入れを拒否。尚、この時警察が酒井に任意同行を求めたが、「子供がいるから後で行く」と拒否し、知人男性とその場を去る。

8月4日 マスコミでは早朝にニュースや新聞などで夫の逮捕を報じる。また、酒井と息子が失踪したと報道する。

8月7日 逮捕されていた夫が、警察の質問に対し、「酒井も覚醒剤使用していた」と述べる。酒井の自宅を家宅捜査し、覚醒剤が付着していたストローから酒井のDNAが検出される。警視庁が酒井法子の覚せい剤取締法違反(所持)の容疑で逮捕状を取る。

8月8日 19:55分に文京区にある警視庁富坂庁舎に弁護士、親族とともに出頭する。21:00頃。覚せい剤取締法違反(所持)の容疑で逮捕される。

酒井法子失踪


8月9日 00:08分。江東区の東京湾岸警察署へ移送される。

8月19日 毛髪鑑定の結果、酒井法子の毛髪から微量の覚せい剤が検出された。検察、警察は覚せい剤使用でも立件に向けて協議を開始した。

9月4日 元所属事務所のサンミュージックへ東京湾岸警察署の拘留中の酒井法子容疑者より謝罪の手紙が届く。

編集部A 以上が事件の概略です。元アイドル清純派女優の薬物絡みの事件で、マスコミの注目度も高く、現在発売中の週刊誌や写真誌でも大きく取り上げられています。さて、今回の事件ですが、精神分析的視点で解説すると、どの様に捉えられるのでしょうか?

目次へ

4、精神分析的視点

立木歩実 まず、酒井容疑者が余りに子どもなのに驚きました。精神分析的表現で言うと「育っていない」と言う事です。彼女は大人になっていない。大人とは自己統制が出来る人の事です。自己統制とは「外からの規制や圧力によらず、自分の意志にしたがって、自分の行動を統制できる事」です。例を挙げれば「時間が管理できる事」「お金が管理できる事」そして「健康管理ができる事」等があげられます。

目次へ

5、自己統制-時間編―

マスコミ情報その1

 酒井法子容疑者(38)と親しい関係者によると、酒井容疑者は都内のクラブ(六本木velfarre)に頻繁に足を運び、時にはDJブースに入ってパフォーマンスすることも多かったという。「サイバー・ノリP」の名でDJをしており、投稿動画サイトでは「サイバー・ノリPこと酒井法子のバキバキDJプレイ」のタイトルで、クラブイベントで頭を振りながらノリノリなプレーをしている酒井容疑者の映像へのアクセス数がここ数日で急上昇している(現在、動画は削除されている)。

サイバーのりピー


立木歩実 時間が管理できていません。独身の若者なら夜遊びもいいのでしょうが、38歳で10歳の子どもがいる母親が深夜にDJプレイは感心しません。その間、幼い子どもはどうしているのでしょうか?

目次へ

6、自己統制-お金編―

マスコミ情報その2

 酒井法子が旦那プロサーファーの高相祐一(たかそうゆういち)と離婚が報じられた(正しくは別居状態)。理由は夫の稼ぎにかなりの不満があり関係者にその話しをもらしている。夫の職業はプロサーファーと言っているが日本プロサーフィン連盟・JPSAの公認プロとして、一切エントリーされていない。また、世界プロサーフィン連盟日本支局・ASP Japanのランキング一覧にも彼の名前を見つけることはできない。従って、現在、夫の賞金プロとしての活動は皆無に等しい。未公認のレッスンプロとしての活動のみと思われる。つまり、自称プロサーファーという事だ。二年前に自身が経営するスキーショップも破綻。


立木歩実 これは憶測ですが、実際の旦那は無職状態であり、芸能事務所に所属している酒井容疑者の方が主人になっており、経済的にも夫婦関係が崩壊しています。

目次へ

7、自己統制-健康編―

マスコミ情報その3
のりピー刺青 酒井容疑者は、4、5年前から夫婦で覚せい剤を使用していたと警察の事情聴取に応じている。左足首に刺青(入れ墨 蓮の台座の上に梵字)を入れていたことが分かった酒井容疑者だが、左手の薬指の根元付近にも星形の刺青が入っていたことが10日、明らかになった。2007年11月、有名ブランド店のオープンイベントに登場した際にクッキリ写っていた。いつ入れたのかは不明だが、ちょうど結婚指輪で隠れる位置。清純派イメージの陰で、覚せい剤を使用していた事実と妙に符合する。酒井容疑者は7月中旬に行われたTSUTAYAのDVD「崖の上のポニョ」のCM撮影を行ったが、左足首の刺青は映像処理で修整を余儀なくされた。


立木歩実 今回の容疑の覚せい剤を使用ついて述べると、日本で通常の生活を送っていれば、覚せい剤使用は犯罪である事は分かっている筈。にも拘らず、やってしまうところに容疑者のコンプレックスがある。リスクを背負ってまで覚せい剤を使用する事で、彼女は得るものが有ったと言う事。本来なら、心地良さは覚せい剤などの薬を頼らずに自分の努力で得るものだが、リスクを使ってでも手軽に、しかも即得たいのか?言い方を変えればそれくらい日常の中に楽しみ事や、心地良さを見出し感じられないと言う事ではないか?社会的にはそれなりに成功し経済的にも恵まれ、結婚し子どもを産み、幸せそうに見えていたが、彼女の心の中は満たされない何かがあったのです。

 また、刺青(入れ墨)について解説すれば、刺青は、単なる体への装飾ではありません。刺青=刻印(マーキング)です。子どもは母に抱かれる事で、その接触した皮膚に母に触れられた心地よさがマーキングされる。それがもとになり、後に大人になって皮膚接触を求める。つまり子ども時代の母とのあの皮膚接触の心地よさを、もう一度異性と味わいたいと肉体交流を求める。そのマーキングが極端に少ないと、肉体的接触を求めない。それは彼氏、彼女をつくらない、つくれない、結婚しない、SEXレスになるなどの行為となる恐れがある。刺青をする事は「こんなに私は触れられていません(愛されていません)」と言う事の表現である。特に彼女は夢を売っている女優である。刺青を入れた事=女優としての死を意味している。

分析家の独り言179(刺青の意味)

目次へ

8、酒井法子というペルソナ(仮面)

立木歩実 以上の事から芸能人としてプロダクションに所属しタレント活動を行っていたのにも関わらず、現実の酒井容疑者は、夫婦関係は破綻し、育児も放棄、覚せい剤を使用し精神的にも欠損を抱え、体には刺青を入れ女優業も辞したに等しい。  芸能プロダクションやマスコミが作り上げた「清純派アイドル」「女優」「ママドル」と言うペルソナ(仮面)が剥がれ落ちた今、本当の酒井法子は、自己統制ができない「未成熟な人間であった」と言わざるを得ません。
編集部A さて、精神分析の手法として、クライアントの無意識を探る時に「養育史」をヒアリングする事をしますが、マスコミが報道する酒井法子容疑者の「養育史」を知ると、とても精神の成熟は望めそうもないような気もしますが…。

 実は、私は、酒井法子さんが小学校、中学校時代を過ごした福岡市出身で、彼女の出身校「大名小学校、舞鶴中学校」も馴染みの深い場所です。地元福岡では、酒井法子さんの家族は暴力団組員である事は公然の秘密扱いでした。酒井法子さんがアイドル時代、テレビ界ではTBS ザ・ベストテンなどの歌番組全盛の時代。よく中継先にアイドルや歌手の家族の映像が中継される事がありましたが、酒井法子さんの場合、実父が暴力団組長であり、そういう中継は皆無でした。

 「酒井法子はこんな子だったのだろうか」サンミュージックの相沢正久社長が記者会見の席でこう言ったそうです。所属事務所の社長にしてみれば今回の事件はショックな事でしょうが、タレントはタレントの顔を持ち、会社員は会社では上司に従順な部下を演じているだけで、社会や組織の中で別の顔を持っているのは当たり前です。

 ここで一つの例を出しましょう。今の若い方はご存知ないかもしれませんが、昔、「大原麗子」という女優がいました。時の高感度ナンバーワンに選ばれた女優さんです。今で言えば藤原紀子さん的な立場にいた女優さんです。思い出されるフレーズは「少し愛して、ながーく愛して サントリーレッド」。先般、大原麗子さんが孤独死…という報道がありました。大原さんは、晩年は母親の介護と自身のギラン・バレー症候群治療のため芸能活動は休止されていました。大原さんの評価が高いのは、大原さんは「女優 大原麗子」のペルソナいいかえればイメージを壊さずにファンを大切にしたからでしょう。僕たちの心の中では大原麗子さんは「女優 大原麗子」のままです。その点、酒井法子さんは、女優酒井法子というペルソナを台無しにしてしまったわけで、甚だ残念な結果と言わなければなりません。サンミュージックの相沢正久社長はまさに断腸の思いでしょう。そう言えば、酒井法子さんから「ファンのみなさんごめんなさい」とファンに対する謝罪の言葉があったと言う報道がありません。やはり、女優 酒井法子は既に死んでしまっていたのでしょうか?…追記(9月4日東京湾岸署に拘留中の酒井法子容疑者より元所属事務所のサンミュージックへ謝罪の手紙が届く。ファンへの謝罪の言葉が綴られていたとの事)。

目次へ

9、酒井法子容疑者の経歴

編集部A 酒井法子容疑者の経歴を列記します。


より大きな地図で 酒井法子福岡マップ を表示

1971年2月14日 福岡市に生まれる。父親酒井三根城(さかいみねき)さんは山口組系伊豆組酒井組酒井峰吉(みねきち)組長で、当時服役中。実母が男を作って逃げた為、酒井容疑者は父方の叔母夫婦に預けられ小学校時代の6年間を埼玉県狭山市で過ごす。酒井組は覚醒剤の販売が主な鎬であった。6年生の3学期に帰郷(実父が再婚し継母との生活が始まる。まもなく腹違いの弟 健が生まれる)して福岡市立大名小学校を卒業。福岡市立舞鶴中学校ではソフトボール部に所属し、3年生になった(クラスは3組出席番号は33番)1985年の夏に9番ライトで県大会準優勝を果たした。三根城さんは継母とも離婚。酒井容疑者を連れて三根城さんが再々婚した女性が、今回の逃亡に同行した(二番目の)継母にあたる。

酒井法子家族映像

1985年10月26日の「'86ミスヘアコロン・イメージガール・コンテスト」(資生堂主催)に応募した事がきっかけで、サンミュージックプロダクションの専務の目に留まり、その年の12月に上京。東京の中学校に転校卒業。堀越学園入学。

1986年 芸能界デビュー。

1987年 第18回日本歌謡大賞最優秀放送音楽新人賞を受賞。「ヤッピー」「いただきマンモス」「うれピー」といった、「のりピー語」を流行させた。当時の事務所社長の相澤秀禎氏が「のりピー語」は酒井を売り出すための戦略であった事を自著で明かしている。中学生の頃に自ら生み出したというキャラクター「のりピーちゃん」は、日本自動車工業会の交通安全ポスターにも使われた。

1989年 実父酒井三根城(さかいみねき)が交通事故で他界(49歳)。

大破した酒井三根城の乗用車

1990年代以降、東アジア(台湾、香港、中華人民共和国など)進出。

1995年 デビュー9年目にして『第46回NHK紅白歌合戦』に初出場を果たした。

1998年に自称プロサーファー・高相祐一(たかそうゆういち・南青山を中心に展開されているスキーショップジロー「JIRO(都内や神戸、軽井沢に計4店の系列店)」経営者・高相次郎(たかそうじろう)の長男で、自身もスキー&スノーボードショップ「CORE SIDE」を経営)とできちゃった婚。二人を紹介したのはトンネルズの木梨憲武(きなしのりたけ)。酒井法子容疑者をサーフィンに誘ったのが河村隆一(かわむらりゅういち)との情報もあり。

のりピー夫妻

1999年7月18日、長男を出産。

2000年 産休から復帰したが、デビュー当時からの担当マネージャーだった溝口伸郎が首吊り自殺(溝口氏は飛び降り自殺したサンミュージックプロダクションの所属タレント岡田有希子の担当マネージャーだった)。

2005年 覚せい剤の使用を始める(夫の供述による)。夫の経営するスポーツ用品店倒産。

2007年 左足首に刺青(入れ墨)を入れる。

2009年 春頃から夫と別居状態。酒井法子と長男は都内南青山、夫は千葉。

2009年7月 酒井容疑者の腹違いの弟、福岡市早良区、山口組系暴力団組員酒井健(さかいたけし)被告(30)が覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで福岡県警福岡東署に逮捕される。知人から軽自動車を脅し取った恐喝容疑で同署が6月末に逮捕し、言動がおかしかったため尿検査をしたところ、覚せい剤の陽性反応が出たという。恐喝容疑は被害者が被害届を取り下げて処分保留となったが、覚せい剤取締法違反罪で福岡地裁に起訴された。

Surftrip journal 2007年4月23日 発売号 (Vol.48)

2009年8月 夫の高相祐一容疑者(41)が覚せい剤取締法違反(所持、使用)の罪で現行犯逮捕その後起訴。6日間の逃走した酒井法子本人も覚せい剤取締法違反(所持)容疑で逮捕された。28日付で、サンミュージックプロダクションを解雇される。所属レコード会社「ビクターエンタテインメント」も契約解除。

2009年9月 サンミュージックの相沢秀禎会長が、管理責任をとって辞任。今後は相談役に退く。相澤正久社長も副会長に降格。

2009年9月14日 酒井健初公判(福岡地裁)検察は懲役3年を求刑

2009年9月16日 高相祐一被告 警視庁渋谷警察署から保釈。高相祐一被告が被っていた帽子には前面にデカデカと「くだらない人間」の意味を表す「PUNK」、つばには「CASPPER」の文字がパッチワーク風に縫いつけられていた。

2009年9月17日 酒井法子(高相法子)被告 警視庁東京湾岸署から保釈。東京・一ツ橋の如水会館で謝罪会見。 


のりピー夫妻

2009年9月28日 覚せい剤取締法違反(所持、使用)罪で起訴された女優・酒井法子被告(38)の弟で、同法違反(使用)罪に問われた福岡市の自動車販売仲介業・酒井健被告(30)に対し、福岡地裁は28日、懲役2年6か月の実刑判決を言い渡した。

2009年10月21日 高相祐一初公判 。検察側は懲役2年を求刑した。弁護側は執行猶予付きの判決を求めた。判決は11月12日に言い渡される予定。

2009年10月26日 酒井法子(高相法子)初公判。覚せい剤取締法違反(使用・所持)に問われた元女優、酒井法子(本名・高相(たかそう)法子)被告(38)は26日、東京地裁(村山浩昭裁判官)の初公判で「(間違いは)ありません」と起訴内容を認めた。被告人質問で「一番身近な存在の夫からすっきりすると言われ、安易に好奇心で使ってしまった」と説明した。検察側は懲役1年6月を求刑、弁護側は執行猶予付き判決を求め、公判は即日結審した。判決は11月9日の予定。

2009年11月08日 覚せい剤取締法違反(所持、使用)の罪に問われた女優酒井法子被告(38)が、9日の判決公判(東京地裁)終了後、夫の高相祐一被告(41)=同法違反で起訴、公判中=にはんこを押した離婚届を送り付ける意向であることが8日、関係者の話で分かった。

2009年11月09日  覚せい剤取締法違反(所持、使用)の罪で起訴された元女優、酒井法子被告(38)の判決公判が9日、東京地裁で開かれた。村山浩昭裁判官は「覚醒(かくせい)剤への親和性や執着は明らか」として、懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)の有罪判決を言い渡した。

2009年11月18日 覚せい剤取締法違反の罪で有罪判決を受け、介護の仕事に就く意思を示している元女優酒井法子(本名高相法子)(38)が18日、ソーシャルワーク学部への入学手続きをした創造学園大(群馬県高崎市)に、オリエンテーションを受けるため登校した。

2009年11月25日  酒井被告の有罪確定 検察、弁護側も控訴せず。覚せい剤取締法違反(所持、使用)の罪に問われた元女優、酒井法子被告(38)に対する懲役1年6月、執行猶予3年の東京地裁判決は、検察、弁護側双方が控訴せず、25日午前0時で判決が確定した。

 9日に言い渡された判決では、酒井被告について「4年前に初めて夫に勧められて覚醒(かくせい)剤を使った後、昨年夏ごろからは毎月のように使うようになった」と常習性や依存性を認めた。一方で「反省を深め、覚醒剤との縁を絶つ決意をして夫との離婚も考えている」と、執行猶予を付けた。

 判決によると、酒井被告は7月30日に家族で訪れた奄美大島のホテル客室で覚醒剤を吸引、8月3日には東京都港区南青山の自宅マンションで、覚醒剤0.008グラムを所持した。

 同法違反罪に問われた夫で自称プロサーファー、高相(たかそう)祐一被告(41)は10月21日の初公判で懲役2年を求刑されており、判決は今月27日に東京地裁で言い渡される。

2009年11月27日 元女優酒井法子さん(38)=有罪確定=とともに覚せい剤取締法違反(使用、所持)の罪に問われた自称プロサーファーの夫高相祐一被告(41)に対し、東京地裁は27日、「数年前から覚せい剤を使用するなど依存性は根深い。他の者に覚せい剤の害悪を広め、犯情は悪質」として懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役2年)を言い渡した。

編集部A どこでどうなるのか分からないのが人生。まるでセロゲームの様に…。中学校3年まで不遇な幼児少女時代。芸能界入り。できちゃった結婚して、不穏な生活へ。

特別付録 のりピー年表

西暦セイレキ 和暦ワレキ オット 年齢ネンレイ オトウト 子供コドモ チチ 継母ママハハ  
71 S45 3 0     31 24 福岡市フクオカシ誕生タンジョウチチ実家ジッカ佐賀サガテラてられる
72 S46 4 1     32 25 埼玉サイタマ親戚シンセキタクソダてられる
73 S47 5 2     33 26  
74 S48 6 3     34 27  
75 S49 7 4     35 28  
76 S50 8 5     36 29  
77 S51 9 6     37 30 小学校ショウガッコウ入学ニュウガク
78 S52 10 7     38 31  
79 S53 11 8 0   39 32 継母ママハハオトウト出産シュッサン
80 S54 12 9 1   40 33  
81 S55 13 10 2   41 34  
82 S56 14 11 3   42 35 福岡フクオカ市立シリツ大名ダイミョウ小学校ショウガッコウ卒業ソツギョウ
83 S57 15 12 4   43 36 福岡市立フクオカシリツマイツル中学校チュウガッコウ
84 S58 16 13 5   44 37  
85 S59 17 14 6   45 38 オーディション応募オウボ東京トウキョウ移動イドウ
86 S60 18 15 7   46 39 堀越ホリコシ学園ガクエン入学ニュウガク芸能界ゲイノウカイデビュー
87 S61 19 16 8   47 40 第18回日本歌謡大賞最優秀放送音楽新人賞を受賞
88 S62 20 17 9   48 41 堀越ホリコシ学園ガクエン卒業ソツギョウ
89 S63 21 18 10   49 42 実父酒井三根城(さかいみねき)が交通事故で他界
90 H01 22 19 11     43 東アジア(台湾、香港、中華人民共和国など)進出
91 H02 23 20 12     44  
92 H03 24 21 13     45  
93 H04 25 22 14     46  
94 H05 26 23 15     47  
95 H06 27 24 16     48 『第46回NHK紅白歌合戦』に初出場
96 H07 28 25 17     49  
97 H08 29 26 18     50  
98 H09 30 27 19     51 出来デキちゃった結婚ケッコン
99 H10 31 28 20 0   52 7月18日、長男を出産。
0 H11 32 29 21 1   53 担当マネージャーだった溝口伸郎が首吊り自殺
1 H12 33 30 22 2   54  
2 H13 34 31 23 3   55  
3 H14 35 32 24 4   56  
4 H15 36 33 25 5   57  
5 H16 37 34 26 6   58 覚せい剤の使用を始める
6 H17 38 35 27 7   59  
7 H18 39 36 28 8   60 左足首に刺青(入れ墨)を入れる
8 H19 40 37 29 9   61  
9 H20 41 38 30 10   62 夫と別居・覚せい剤所持使用容疑で逮捕

目次へ

10、名前の不思議 酒井家の場合

編集部A 精神分析では、名前を分析の一つのポイントとしています。惟能創理氏の著書「運命は名前で決まる」には以下の様に解説されています。
<無意識を名付ける>

 他人が人を命名する行為には、無意識が使われる。他者は人に名前を付けるとき、祈願であり、欲望をもってそれをすると述べてきた。祈願も欲望も、かつて名付け親自身がそうありたいと考えたそれを言語化(抽象化)したものである。・・・この世に不在の自我を抽象したことになる。実現されなかった幽霊のような自己を表す語を人に付ける事になる。

 こうして名前と現実(名付け親の行動)が矛盾することを目の当たりにする。そうして、人は親をモデルとして模倣し、性格を身につけていく。その結果、名前は体を現さなくなり、それとは正反対の行動を取り、人生を変えていく。
 正直であれ!の背後には。「嘘をついていけない」がある。それが意識されずにいるという意味において、「無意識」が名付けられるというのである。



酒井家の場合…
酒井三根城(さかいみねき) 暴力団組長時代は峰吉(みねきち)と名乗る

酒井法子(さかいのりこ)

息子
酒井健(さかいたけし)

法を守れずに服役した父親が娘を法子(のりこ)と名付け、不健全な覚せい剤売買を組の仕事とした父親が息子に健(たけし)と名づける。まさしく、・・・この世に不在の自我を抽象したことになる。実現されなかった幽霊のような自己を表す語を人に付ける事になっています。

更に、娘と息子が、覚せい剤で逮捕されるに至っては、 …人は親をモデルとして模倣し、性格を身につけていく。その結果、名前は体を現さなくなり、それとは正反対の行動を取り、人生を変えていく。
これも、ズバリあたっています。

酒井姉弟の覚せい剤所持容疑の逮捕は皮肉な偶然なのではなく、必然だったのです。父親自身の名前も三根城(みねき)と何かしら深い意味が有るようなネーミングです。酒井紀子さんの父方の祖父の無意識は何故、三根城と名付けたのでしょうか?

ちなみに、酒井容疑者(本名高相法子)息子さんの名前は「高相祐樹・レイ・キラキラ」3つあるそうです。日本語・英語・ハワイ語でしょうか。ハワイで出産したのか日本国籍とハワイ国籍を持っているそうです。

宗教的な言葉を使えば「因果応報」という言葉が思い出されます。

38年前、酒井紀子の出生時、覚せい剤に関わっていた暴力団組長の父親は服役中。実母は別の男と逃げて、酒井紀子は親戚に預けられたそうです。それから小学校6年生になるまで酒井紀子は親戚宅で養育される筈で随分寂しい思いをした筈です。また、物心ついて、自分の産みの母が自分を捨てた事を知った時の彼女の心中はどうだったのでしょうか?まるで昔のテレビドラマ赤いシリーズの様な展開です。

そして、38年の歳月が流れ、妻としての酒井紀子、母としての酒井紀子は…夫と共に覚せい剤に手を染め、逃亡、逮捕、拘留。今度は自分自身の子どもに寂しい想いをさせています。さらにその一ヶ月前には、1番目の継母との間に生まれた腹違いの弟(暴力団組員)まで覚せい剤で逮捕されていたとは…。

目次へ

11、タレント酒井法子の死

マスコミ情報その4

酒井被告荒れた生活…足の踏み場ない部屋

 覚せい剤取締法違反(所持)の罪で起訴されたタレント酒井法子(本名高相法子)被告(38)の自宅が、家宅捜索の際、足の踏み場もないほど荒れていたことが29日、分かった。地方のクラブやレイブパーティーに出向くなど留守がちだったことなどから、荒れた生活につながったとみられる。一方、起訴を受けて同被告の継母は「仕方がないこと」と淡々と事実を受け止めているという。
 酒井被告が住んでいたのは、東京・南青山の高級マンション。酒井被告の荒れた生活実態が発覚したのは今月3日。夫で自称プロサーファー高相祐一被告(41)が覚せい剤を隠し持っていたとして現行犯逮捕されたのを受け、同日の家宅捜索で明らかになった。
 家宅捜索時点で、すでに室内は足の踏み場もないほど散らかった状態だったという。関係者も「散らかし方が半年、1年という話じゃない」と驚いたほどだった。女優という職業柄から大量の洋服や化粧品から、雑誌や食料品といった生活用品まで室内に散乱していたものとみられる。
 酒井被告と高相被告の夫婦関係は破たん状態で、南青山のマンションには基本的に酒井被告と長男(10)の2人暮らしだった。高相被告は千葉・勝浦市の別荘で過ごすことが多かった。だが、別の関係者は「夫婦関係が破たんしていたとはいえ、2人は週に何度か会っていた」と話すなど、高相被告がマンションに出入りし、家族で使用していた可能性もある。
 もっとも、酒井被告は仕事だけでなく、プライベートでも家を空けることが多かった。最近は奄美大島をはじめ、前橋、仙台、浜松など各地のクラブやレイブパーティー(野外などで一晩中、音楽を流し続けるイベント)で、酒井被告夫婦の姿が目撃されている。留守がちだったことも、部屋の乱雑ぶりにつながったとみられる。
 一方、酒井被告の継母は起訴について関係者から連絡を受けると「そうなんですね。仕方がないことです」と話し、淡々と受け止めているという。肺がんを患っているが、取り乱すことはなく「娘のことは弁護士の方に任せているから」と気丈に振る舞っていたという。


編集部A 部屋はその人の精神内界である…と精神分析で説明されます。だとすれば、「足の踏み場ない部屋」と報道される程、酒井法子さんの精神内界は荒れていた事になります。これは私個人の推測ですが、14歳で上京してから「タレント・芸能人」として突き進んできた酒井法子は死んだのだと思います。18歳で実父を亡くし、27歳でできちゃった結婚。28歳で出産。29歳で担当マネーシャーが自殺。タレント酒井法子ではない「娘」としての自分。タレント酒井法子ではない「妻」としての自分。タレント酒井法子ではない「母」としての自分。タレント酒井法子ではない「一個人」としての自分。…次々と違う自分、言い換えれば「自我」が要求されます。不遇な幼児少女時代を過ごした酒井法子さんは精神発達論で言うところの健全な自我を育てる事が出来なかったのはないでしょうか?タレントロボットとなり、所属事務所やマスメディアの要求通り「のりピー語」をしゃべり、歌い、踊り、演技する。酒井法子の中で、そんな「タレント酒井法子」では満たされない何かが徐々に首をもたげてきたのではないでしょうか?マスコミで報道されている近年の酒井法子さんの映像をみると、まるで思秋期の少女の様な印象を受けます。そう、20年遅れてやってきた思秋期です。六本木のクラブでの夜遊び、サンミュージック創立40周年記念パーティーでは髪の毛を前面のみ赤く染めていました。髪の赤い酒井法子できちゃった結婚は不純異性交遊。喫煙ではなく覚せい剤使用。そして刺青。部屋には物が散乱。彼女にはタレント酒井法子を殺して覚せい剤を使用してでも得なくてはならない何かがあったのでしょう。報道では酒井法子さん自身が「こうなる事はわかっていました」と語っているそうです。わかっていながらしてしまう「無意識」の恐ろしさを感じます。つまり、酒井法子は自分でタレント酒井法子を殺したわけです。酒井紀子さんの年収は1億2000万円だったそうです。もちろん税金をひかれれば手取りは数千万円になるわけですが、生きていく為には金銭的にはなんら不自由はなかった筈。人間酒井法子はリスクを承知で、何故覚せい剤を使ってしまったのでしょうか?

もうしばらくすると、テレビ、新聞、雑誌も「ケロッ」とタレント酒井法子の事は忘れてしまうでしょう。そして、私達の前にタレント酒井法子という人が現れる事はないでしょう。しかし、タレントではない人間酒井法子さんは、これからどう生きられるのでしょうか?酒井法子さんは旦那さんと離婚して、継母と子どもと静かに暮らしたいと語っておれてるそうです。精神分析の世界では、自我が育っていない人は45歳までしか生きられないという説があります。私は個人的に「のりピー大丈夫かな」という気持ちでいっぱいです。


マスコミ情報その5

酒井法子被告、思いを供述「逮捕されて良かった」。

覚せい剤取締法違反(所持)の罪で起訴された女優で歌手、酒井法子被告(38)が、「あのままだと覚せい剤をやり続けていた。逮捕されて良かった」と供述していることが9月1日、分かった。警視庁は、最近も覚せい剤を使用していたとみて、裏付けのため同法違反容疑で再逮捕された夫、高相祐一容疑者(41)の拘置期限を延長する見通し。小学4年生の長男(10)はこの日、新学期を迎えた。
ハイテンション酒井法子

【写真で見る】 自分の思いを供述した酒井法子被告

 「夫と私は精神的に弱い人間です。あのままだと覚せい剤をやり続けていたと思うので、逮捕されて良かった」

 この日、両親とも拘留されたまま新学期を迎えた愛息への後悔の思いがよぎったのか。TBSの報道によると、酒井被告は猛省を口にし、さらに「覚せい剤を使い始めて半年経ったころ、やめようと思い、夫の覚せい剤をトイレに流した」とも供述。「やめたかった」という思いと、更生したい思いを強調した。

 所属事務所は解雇された。今後はまじめに更生の道を進み、息子のためにも早く社会復帰しなければならない。だが、更生には、同じく覚せい剤取締法違反で逮捕された夫の協力が不可欠だ。

 「夫に勧められて…」快楽の世界におぼれていった酒井被告。これまで「やめようと思ったが、やめられなかった」と供述しており、半年前から別居状態の夫とは“薬”が絆でつながっていた。

 酒井被告は逃亡中、同行した継母に「離婚して、子供と(継母の)3人で静かに暮らしたい」と離婚の意思を漏らしていた。覚せい剤をやめたいという気持ちは、確かにあったのかもしれない。だが、これだけボロボロになることが分かっていながら、やめられなかった被告の姿は、薬の怖さを物語る。

 警視庁は酒井被告が最近も覚せい剤を使っていた疑いがあるとみて、9月2日に切れる夫の拘置期限を延長、2人をさらに追及する方針だ。


編集部A 自分で「夫と私は精神的に弱い人間」だと自認している酒井子。これは、精神分析的には「健全な自我」が育っていない状態であると思われます。はたしてそんな彼女が、裁判の後、有罪となり、執行猶予がついて、例え猛省したとしても、娑婆世界に帰ってきて、旦那と正式離婚し、子どもの親権を獲得し、継母と静かに三人で生活する事ができるでしょうか?自我脆弱な彼女が、あと十年、子どもを成人させる事ができるでしょうか?覚せい剤&芸能人というキーワードで検索すれば「再犯率」という記事がでてきそうな状況です。残念ながらこれが律の限界です。司は人の心を育てる事はできないのです。ちなみに、刑の執行を受けたものが満期釈放、仮釈放、または恩赦により出所した後、再び犯罪を繰り返す比率を再犯率といいます。覚せい剤事犯の場合、この再犯率が50%前後と極めて高いのが特徴であり、この数字が、覚せい剤の精神依存性の強さを物語っています。「」の文字が皮肉の様に並びます。

マスコミ情報その6

 覚せい剤取締法違反(所持)の罪で起訴された女優で歌手、酒井法子被告(38)と同罪で起訴された高相祐一被告(41)の間で刑事、民事の両面で夫婦対決の可能性が2日、浮上した。まず、刑事では、使用実態の供述で食い違いをみせ、夫が「やりすぎるなよ」と注意するほど妻が主体的に吸っていたことを証言。一方の酒井被告は「夫に勧められた際、最初は覚せい剤だとは知らなかった」と夫の責任を強調しており、法廷での非難合戦は避けられそうにない。

 離婚や長男の親権をめぐる民事訴訟も予想される。高相被告の母親が酒井被告と接見し、「長男をあずかりたい」と申し出たが、酒井被告が拒絶したことが発覚。同被告の継母と親しい建築会社「社長」も「法子は夫と離婚して、息子と継母の3人で静かに生活したいと言っていた」と告白。

 一方、スキー用品店を経営する高相被告の父親(70)は、顧客に送付した謝罪文で2人を離婚させず、更生させる意思を表明したばかり。夫妻の今後について、お互いの親族がまったく違う方針を示しているためだ。


編集部A 上記の記事を読めば、夫婦の未熟さがよく分かります。夫の高相祐一の父親高相次郎(たかそうじろう)は70歳で41歳の息子を更正させるって表明していますが、「じじいとおっさん」がこの状態。酒井法子が「高相と縁を切って一人になりたい」と思うのは当然でしょう。結局、お子様同士がエッチして子どもができました。みんな子どものまま10年経って、夫婦のバランスが崩れ、東京南青山と千葉で別居。世間の目があるから離婚はできない。二人の共同作業はクラブとレイブと覚せい剤。逃亡、逮捕。ここから人生を立て直せるか?のりピーに世間は注目している。

目次へ

12、精神分析的解釈とまとめ

編集部A まず、酒井法子さんの芸能界入りについては、中学校三年の時のオーディション応募が切っ掛けとなっています。精神分析的観点からみると、所謂「女性のシンデレラ願望」とは違った観点からの見方になると思いますが如何でしょうか?
立木歩実 酒井法子さんの芸能会入りは人間の欲求として「目立ちたい」「注目されたい」と言う表れであり、引いては「眼差しを浴びたい=母の眼差しを得たい」と言う欲望だと思われます。彼女の生い立ちからして多くの報道で語られている様に産みの母から父の実家である佐賀の寺に置き去りにされたという事が事実であるなら、酒井法子さんの芸能界入りはむしろ自然な流れであり、彼女の芸能界での成功は「動機と欲望の一致」であると言っていいでしょう。
編集部A しかしながら今回の覚せい剤所持と吸引での逮捕起訴という事態は、テレビの中の芸能人酒井法子さんのイメージからは想像もできなかった事で、世間の注目度も非常に高くなっています。そもそも何故、芸能界で成功し順風満帆であった筈の酒井法子さんが薬物(覚せい剤)に手を染めてしまったのでしょうか?
立木歩実 薬物依存症は、口唇期(0歳から1.5歳)の欠損の特徴です。精神分析の中ではよく「口唇期欠損」と言う言葉を使います。

この口唇期(0歳から1.5歳)時代は、精神発達上「甘えと依存」の時期で、酒井法子さんはこの時期に実の母に見捨てられたわけです。本来ちゃんと育っている筈の大人であれば「覚せい剤」に依存せず、心地よさを獲得する術を持っている筈が、口唇期欠損を抱えた酒井法子さんは覚せい剤に依存する事によって快楽を得ようとしたのです。酒井法子さん自身が違法行為と知りながら何度も「やめようと」思いながらも、結局は、止められなかった」と語っています。

編集部A これは私の疑問なのですが、口唇期欠損を抱えた酒井法子さんが芸能界で順風満帆であった筈なのに、38歳、の4、5年前とすると、33から34歳から薬物依存が始まったのは何故なのでしょうか?
立木歩実 ライフワークの心理学的見地からすると、この時期(35歳前後)は、人生の折り返し点であり、自分の今までの人生を振り返ってたりする時期で、精神分析のクライアントとなるのもこの時期の方が多い様です。酒井法子さんの場合、社会的仮面(ペルソナ)が、芸能人であった為に、芸能界での育ての親、サンミュージックの社長の言う通りの生活をしていれば、問題が起こらなかったのですが、33歳から35歳の時期に、結婚、出産、育児を経て、芸能人という社会的仮面の他に「妻としての顔」「母としての顔」「嫁としての顔」を持つ事で、酒井法子さんは遅れてきた思春期を迎えてしまったのではないかと思われます。
編集部A そうですね。確かに、刺青を入れたり、髪の毛の前の部分を赤く染めたり、夜遊びをしたりするなど、たしかに生活パターンが変化して、彼女自身が思春期の子どもの様にサインを発しています。まるで、子ども時代が終わっていないようです。彼女の家族関係はどうだったのでしょうか?
立木歩実 酒井法子さんは、テレビのインタビューで「私達はまるで恋人同士の様な親子(息子との関係)って言われます」と答えていました。この事から言える事は、父(高相祐一)の不在です。家族関係の基本は、父母が仲が良いのが普通です。「母と息子が恋人関係」と言う事は、即ち、父が父の役目を果たしておらず、夫婦関係の破綻を垣間見る事ができます(現実に夫婦は別居して破綻状態)。更に、父(高相祐一)は父親でありますから、本来、父性を発揮して、世の中のルールや掟ひいては社会性を息子に教える立場であるのにも関わらず、逆に覚せい剤を妻に勧めるなど、まったく父性を持っていません。
編集部A そうですね。テレビインタビューでの高相夫婦をみると、そこから醸し出される雰囲気は「二十代前後の恋人同士」のような感じですね。酒井法子さんの不幸はどこにあったのでしょうか?
立木歩実 精神分析の世界では、所謂「自我」は同一人物から一貫した適切な世話を受ける事によって形成されると説きます。しかも、母となるモデルは一般的には自分の母です。「母の様な母になりなりたい」と思いながら育つのが女性であります。残念ながら、酒井法子さんの場合、産みの母、埼玉時代の育ての母、腹違いの弟を産んだ継母、現在肺がんにかかっている二番目の継母…と、複雑な家庭環境で育ってきた為、健全な自我が育っているとは思えません。酒井法子さんは「母性」のモデルとしての母を持っておらず、生さぬ仲である為、施設で育ったり、養子養女のようなもので、気兼ねして言いたい事が言える状況では無かった筈です。こういう環境では母(周囲の人々)にべったり甘える事が出来ず「愛着」も育ちません。母が愛着を知らなければ、子どもを甘えさせる事もできません、子どもも愛着を学ぶ事ができません。今回の事件は、言い方を変えれば、母に甘える依存する事が出来なかった為に、後に、覚せい剤に依存してしまった悲劇と言えます。
編集部A そうですね。酒井法子さんの場合、覚せい剤に依存してしまった訳ですが、世間には「タバコに依存する」「パチンコに依存する」「買い物に依存する」「アルコールに依存する」…などなど、「愛着障害者」が色々な事物に依存する例は沢山あります。あと、酒井法子さんの「できちゃった結婚」の意味は、精神分析的にはどう言う意味があるのでしょうか?
立木歩実 サンミュージックの社長さん曰く「アイドルとしての酒井法子は、ああいう形でしか結婚できなかったのかもしれない」と言っていたそうです。本来の婚約、結婚(入籍)、妊娠、出産…と言うプロセスを踏まずに、妊娠、結婚(妊娠三ヶ月)、出産と言うプロセスで「でき婚」をした酒井法子は、実は結婚したかったわけではなくて、自分を必要としてくれる子どもの存在を欲したのかもしれません。その結果、付属的に結婚した(結婚してしまった)わけです。彼女は子どもを自分の理想通りに育てたかったのかも知れません。この部分は私の憶測ですが…。
編集部A 酒井法子さんは、薬物依存者の更正施設へは入所しないと言っていますがどうでしょうか?
立木歩実 精神分析家の私としては、薬物に手を出してしまう「依存の心の構造」を知って、そこから根本的に覚せい剤依存を断ち切って欲しいと思います。精神分析の世界でも「依存症」は治すのが難しいとされています。自分ひとりの力では「甘えたい」「依存したい」という無意識の欲求に打ち勝つことは困難です。周りの理解と支援はもとより、何らかの心理療法(精神分析)による治療をお勧めします。
編集部A 本日はどうもありがとうございました。
ご意見ご感想は、月刊精神分析編集部までお寄せくださいませ。参考にさせて頂きます。

lacan_msl☆yahoo.co.jp(☆を@に変換願います)

酒井法子微笑編集部追記: 9月17日に保釈された酒井法子被告の謝罪会見に各方面から色々な声が寄せられています。私自身も拝見しましたが、どこか優等生的で心に響くものが少なかった様に感じました。もちろん裁判も開かれますし、酒井法子被告も迂闊な事は言える筈もなく、弁護士との打ち合わせでの会見内容であったに違いありません。酒井法子被告は「薬物と言う物に自分の弱さで負けた」と語っていました。彼女のその「弱さ」はどこからきたものなのか?反省したから「強く」なるのでしょうか?現実に「いけない事」と意識しながら薬物に依存してしまった彼女は無意識(コンプレックス)に操られているのではないでしょうか?快を求めるのに薬に依存してしまった。母に甘え依存したかったのに満たされなかった欲求が彼女の無意識(コンプレックス)となり、覚せい剤に依存してしまったのならば、薬物依存からの脱出は困難を極めるのではないでしょうか?

更に、男性の立場から高相祐一被告に関して思う事があります。今の時点ではマスコミから高相被告に関して良い話が聞こえてきません。妻である酒井法子被告に覚せい剤を勧めたのも高相祐一被告だそうです。本来、父性を発揮し妻を守り子供に社会性を教えていく筈の高相祐一被告の行動は、反社会的で子供で40過ぎたいい大人が何でこうなの?という印象を持ちます。保釈された高相祐一被告に見物人から「高相!家族を守れよ!」と声が飛んでいましたが…「無理無理」と思ったのは私だけではないと思います。そういう高相祐一被告と10年間夫婦関係にあった酒井法子被告も社会的評価を下げてしまった訳ですが、精神分析的にみれば、夫婦とはバランスの上に成り立つもので、そういう男性をパートナーに選んだ女性もそういうレベルという見方になってします。結果、導き出される結論は、夫婦そろって心(自我)が育ってなかったと言う事になります。

以下高相祐一被告保釈時マスコミ情報抜粋


 高相祐一被告が被っていた帽子には前面にデカデカと「くだらない人間」の意味を表す「PUNK」、つばには「CASPPER」の文字がパッチワーク風に縫いつけられていた。関係者によると、この「CASPPER」は高相被告がDJをする時のニックネーム。コメディー映画に出てくるおばけのキャラクター「キャスパー」に息子が似ているとの理由で名付けたという。ただ、キャスパーの正式な綴りは「CASPER」で、高相被告が綴りを間違えたのか、故意によるものなのかは不明だ。
 更に気になる事と言えば、高相被告より、酒井法子の身元引受人となった継母の存在です。血縁関係の無い継母(父つながり)の方が関係が強いとなれば、より一層、高相祐一被告と酒井法子被告の夫婦関係の有り方が注目されます。

目次へ

13、法廷ライブ 酒井法子

【法廷ライブ 酒井法子被告】(1)服装すべて黒色…タトゥー跡は確認できず

 《覚せい剤取締法違反(所持・使用)の罪に問われた女優の酒井法子(本名・高相=たかそう=法子)被告(38)の初公判が26日午後1時30分、東京地裁425号法廷で始まった。「のりピー」の愛称で親しまれたトップアイドルは、なぜ覚醒(かくせい)剤に走ったのか。法廷での酒井被告の発言が注目される》
記事本文の続き 《酒井被告は8月3日未明、覚醒剤を所持していた夫の高相祐一被告(41)=同罪で起訴=が東京・渋谷の路上で警視庁の職務質問を受けた際、現場に駆けつけ、直後に姿を消した。6日にわたる“逃亡”劇の末、8日に自ら出頭して覚醒剤所持容疑で逮捕された。その後、覚醒剤を使用した容疑でも追送検され、所持、使用の両罪で起訴された》
 《起訴状などによると、酒井被告は8月3日、東京都内の自宅で覚醒剤0・008グラムを所持していたほか、7月30日、鹿児島県の奄美大島のホテルで、覚醒剤を吸引したとされる》
 《捜査関係者によると、酒井被告は調べに対して覚醒剤を使用した動機について「夫に勧められ、気持ちが良くなり、仕事の疲れも飛んだ」「3~4年前から何度も吸っていた」などと供述しているという。しかし、なぜ覚醒剤の誘惑に負けたのか、6日の“逃走”劇の間に何があったのか、まだまだナゾは多い》
 《高相被告は今月21日に初公判が行われており、検察側から懲役2年の求刑を受けている。公判では、妻の覚醒剤所持などが発覚しないように、覚醒剤の使用場所についてウソをついていたことを“告白”した。こうした夫婦の“保身”的な態度がどう影響するかも注目される》
 《9月17日に保釈され、記者会見に臨んで謝罪した後は、公の場所に姿を見せていない酒井被告。記者会見の際には、左足首や左手薬指のタトゥー(入れ墨)は隠されていた。公判では、どういう表情を見せるのか》
 《夫の高相被告の初公判と同じ425号法廷。開廷1分前、裁判官席へ向かって左側から、酒井被告が、裁判所職員の案内され、入廷してくる。職員に頭を下げ弁護人席前の被告席に座る酒井被告。黒い服に、黒いスカート、黒いパンプス。短めの髪の一部を束ねている。黒いタイツをはいており、左足首のタトゥーは見えない。左薬指も、少し青っぽく色が変わっているようにも見えるが、傍聴席からは確認できない。村山浩昭裁判官が開廷を宣言する》
 裁判官「それでは開廷します」
 《酒井被告が法廷中央の証言台の前に立つと、裁判官が質問を始める》
 裁判官「名前は何と言いますか」 
 酒井被告「高相法子です」
 《小さな声で、本名を答える酒井被告》
 裁判官「酒井法子という名前も使っていましたか」
 酒井被告「はい」
 裁判官「職業は」
 酒井被告「無職です」
 裁判官「起訴状によると、タレント活動もしていましたが?」
 酒井被告「…」
 《最後の質問に対しての答えは、小さな声で、はっきり聞こえない。微かにうなずいたようにも見える》
 《酒井被告が被告席に戻ると、検察官が立ち上がり、起訴状の朗読を始める。「被告は平成21年……」。膝に手を置いて、検察官の方をしっかり見据えて、起訴状朗読を聞く酒井被告。表情に変化はみられない。朗読が終わると、再び証言台へ立った。》
 裁判官「被告には黙秘権があります…」
 《黙秘権の説明を、酒井被告は立ったまま、小さくうなずきながら聞いた》
 裁判官「いま読み上げられた起訴状に、どこか間違っているところは、ありますか」
 酒井被告「ありません」
 《酒井被告は、小さな声だが、はっきり答えた》

【法廷ライブ 酒井法子被告】(2)生々しいやり取りの再現にも無表情

《裁判が進むにつれ、数分おきに記者が慌ただしく出入りする。証言台の傍らに座った酒井法子被告(38)は、周囲を気にする様子もなく、背筋を伸ばしたまま前を見据えている。傍聴席後方の出入り口からは、「危ないですから、まずは出る人を先に通してください!」という地裁職員の叫び声が聞こえ、法廷にも騒然とした空気が伝わる。見かねた村山浩昭裁判官が注意した》

記事本文の続き 村山裁判官「席の交代の際には、なるべく静かに。急ぎすぎますと、思わぬけがをすることになります」
 《その間にも、記者が絶え間なく動き回る。しかし、酒井被告は、じっと前の検察官席の方を向いたまま。法廷が落ち着いたのを見計らい、男性検察官が立ち上がり、冒頭陳述書を読み上げ始める》
 検察官「被告人の身上、経歴について。被告人は都内の高校を卒業し、犯行当時は著名なタレントとして活動していました。当時は、夫と子供とともに居住していました」
 《夫とは、覚せい剤取締法違反(所持、使用)の罪で起訴され、21日に初公判が行われた高相祐一被告(41)のことだ。検察官は酒井被告の生い立ちを短く説明した後、「次は犯行に至る経緯および犯行状況です」と続けた》
 検察官「まずは、平成21年9月11日付の追起訴状記載の公訴事実について」
 《酒井被告は、8月28日に自宅に覚醒剤を持っていた「所持」の罪で起訴され、9月11日には旅行先の鹿児島県・奄美大島で覚醒(かくせい)剤を吸引した「使用」の罪で追起訴されている》
 検察官「被告人は4年前ごろ、祐一に勧められ、初めて覚醒剤を使用しました。平成20年夏ごろからは、覚醒剤を継続して使用するようになりました。本年7月20日から、皆既日食を見るため、祐一らと奄美大島に旅行しました。奄美大島に滞在していた30日の昼過ぎごろ、宿泊先のホテルで祐一から『(覚醒剤が)あるから吸っていいよ』などといわれ、バスルームでガラスパイプに入った覚醒剤をライターであぶり、煙を吸って犯行に及びました」
 《検察官は続いて、覚醒剤「所持」の罪についても説明する》
 検察官「被告人は本年6月ごろ、自宅で覚醒剤を使用した後、ガラスパイプに残っていた覚醒剤を後日使用するつもりで、削り落としてアルミホイルに包み、化粧箱に入れて自宅に保管し、犯行に及びました」
 《東京・南青山の自宅マンションから見つかった覚醒剤は、0.008グラムと、標準的な1回の使用量に比べてごく少量だった。しかし、検察側は使用目的で所持していたと強調した》
 検察官「犯行後の状況についてです。祐一が渋谷区内の路上で職務質問を受け、覚醒剤を持っていることが発覚したため、(8月)3日未明に現行犯逮捕されました。同日行われた被告人方の家宅捜索で覚醒剤が発見されました」
 《高相被告の逮捕直後から約6日に及んで酒井被告が“逃亡”した経緯についても検察官は触れていく》
 検察官「被告人は祐一に呼び出されて現場に赴きましたが、(自分)自身の覚醒剤使用が発覚することを恐れて現場を離れ、その後、都内などで居場所を転々とした後、出頭しました」
 《酒井被告はテレビなどで自分に逮捕状が出たことを知り、8日夜に都内の警視庁の施設へ出頭。逮捕されている》
 《時折まばたきをする以外は、特に表情を変えることもなく、じっと検察官の方を見つめている酒井被告。村山裁判官が「証拠の説明をお願いします」と促された検察官が続ける》
 検察官「甲1号証は、自宅から覚醒剤を押収した際の状況です。覚醒剤は洗面台の上の収納箱、つまり化粧箱にアルミ箔(はく)片につつまれた状態で置かれていました。このほかに、箱の中には化粧品などが在中。寝室からは、ガラスパイプやビニール片、ストローなど40点以上が入ったポーチを押収しました」
 《今回の裁判では、高相被告が所持していた覚醒剤の鑑定書も証拠の一つとして提出されている。別の証拠には、高相被告が現行犯逮捕された際の酒井被告の様子が盛り込まれているという》
 検察官「8月2日夜、渋谷区内の路上で(高相被告が)職務質問を受けた際、被告人は電話で現場まで赴き、『主人はプロサーファーで何も持っていません。信じてあげてください』などと話したことなどが(証拠に)記載されています」
 《この路上でのやり取りについては、複数の通行人が目撃しており、酒井被告がパニック状態だったという証言もある。検察官は、さらに、奄美大島のホテルで覚醒剤を使用した際の状況について、高相被告が説明した供述調書を読み上げる》
 検察官「私は7月30日午後0時30分ごろ、奄美大島のホテルのバスルーム内であぶって吸いました。吸い終えるとパイプの外側をティッシュペーパーでふき、妻にも吸わせてあげようとパイプと100円ライターを洗面台に置きました。化粧品をそばに置き、妻以外にみつからないようにしました」
 《旅行に同行していた長男(10)が覚醒剤を見つけないよう、配慮したのだろうか。高相被告の調書の読み上げが続く》
 検察官「戻ってきた妻に『風呂に行ってくる』と伝えた後、小さな声で『あるから吸っていいよ』と勧めました」
 《2人で覚醒剤を繰り返し使用していたという夫妻。生々しいやり取りが再現された。酒井被告の表情に変化はない》

【法廷ライブ 酒井法子被告】(3)逃亡は「覚醒剤を抜くため」

 《酒井法子被告(38)は検察官に促され、証言台の前に立った。検察官は、酒井被告に次々と証拠品を示す。最初に示されたのは、実際に覚醒(かくせい)剤をあぶって吸引する際に、容器として使ったアルミホイル。酒井被告は直立したまま目線をそらすことなく、じっと検察官が持つアルミホイルを見つめている》

記事本文の続き 検察官「これは、あなたのものですか」
 酒井被告「はい」
 検察官「(東京・南青山の)自宅に持っていたものですか」
 酒井被告「はい」
 《酒井被告は、淡々と検察官の質問に短く答えていく。次に、ビニール袋に入った実物の覚醒剤が検察官から示された》
 検察官「これは覚醒剤ですか」
 酒井被告「…」
 《ここで、酒井被告は10秒ほど、返答をためらった。そして、答えた》
 酒井被告「はい」
 検察官「アルミホイルに包んで自宅に持っていたものですか」
 酒井被告「はい」
 検察官「あなたのものですか」
 酒井被告「はい」
 《小さく細い声で自身の物であることを認めた。わずかにうなだれ証言台に立つ後ろ姿。それから、長イスに戻って、座り直したが、目線はうつろ。じっと下を向き続けた。ここで、村山浩昭裁判官が改めて確認を行う》
 裁判官「細かい、袋に入った粉状のものが覚醒剤ですか」
 検察官「そうですね」
 《所持していた覚醒剤を突きつけられ、酒井被告は大きく深呼吸をして、目をつぶった。検察官はさらに、身上経歴や覚醒剤の所持や使用について供述した酒井被告の調書を読みあげ、こう付け加える》
 検察官「6月ごろ、(酒井被告の夫の高相)祐一(被告)と一緒にガラスパイプで覚醒剤を使ったことなどを供述しています。7月初旬、アルミホイルに覚醒剤をのせ、煙を吸うことで、『疲れが取れる。眠気が覚める』などの供述をしています」
 「ガラスパイプやストローなどを使って覚醒剤を吸引していたことを述べています」
 「(覚醒剤は)4年前に初めて使い、1カ月に1、2回使っていたことを述べています」
 《さらに、検察側は、酒井被告が8月3日以降、なぜ逃亡したのか、“理由”を明らかにしていく》
 「『7月30日に奄美大島で覚醒剤を使った。8月3日に祐一が職務質問を受けた後、奄美大島で使った覚醒剤を抜こうと思っていた。尿から覚醒剤が出ることを知っていたので、出ないようにしたかった』などと供述しています」
 《清純派アイドルで人気を博していた酒井被告が、常習性を伺わせるような発言を供述していたことに、傍聴席に座るファンと見られる男性は、眉間にしわを寄せて酒井被告を見つめた。酒井被告は持っていた白いハンカチで鼻をすすり、後悔の念が押し寄せているようだ》
 《続いて、弁護側による情状証拠の読み上げが始まった。情状証拠は、酒井被告の継母が、今後の酒井被告を監督することなどを述べた誓約書、酒井被告自身の直筆の謝罪文、そして、元所属事務所「サンミュージック」の相沢正久副社長の証人尋問の3点だ。村山裁判官が、継母の誓約書を読み上げる》
 裁判官「『親の監督不行き届きから、このようなことになってしまったことを、大変申し訳なく思っています。保護者としてしっかり監督していきたい』これは、10月20日付ですね。(酒井被告の)謝罪文はいつごろのものですか」
 弁護人「平成21年8月10日ごろに書いて、9月15日ごろに清書したものです」
 《裁判官が謝罪文を読み上げる》
 「一社会人として自分の弱さに負けてしまった。ご迷惑をおかけしました。このような日々の中で、励ましてくださっている人の気持ちに感謝しています。至らぬ点を厳しく指摘していただき、新たな一歩を踏み出していきます」
 《村山裁判官は、謝罪文の最後に、本名の「高相法子」ではなく、「酒井法子」とつづられていたことを告げた。芸能界への思いが、今も根強く残っているのだろうか。謝罪文の内容は、保釈後に本人が行った記者会見の内容とも似ていた》
 《最後に、情状証人として出廷した相沢副社長が、村山裁判官によって、傍聴席から証言台に招き入れられた。黒いスーツ姿の相沢副社長は、傍聴席の左端から促され、厳しい表情で前に歩を進めるが、酒井被告と目が合うと軽く会釈をした。酒井被告はわずかに目を合わせた後、バツが悪そうに目線をそらし、視点が定まらないように辺りを見回した》
 裁判官「お名前は?」
 相沢副社長「相沢正久です」
 《相沢副社長は、手渡された宣誓書をしっかりと読み上げ、軽くうなずいて証言台のいすに座った。男性弁護人が質問を始めた》
 弁護人「被告人とどういう関係でしたか」
 相沢副社長「タレントとして所属していたプロダクションの代表取締役、責任者です」
 《酒井被告が華々しい芸能活動を続ける裏で、覚醒剤という犯罪に走っていった経緯を、間近で見ていた相沢副社長。いったい何を語るのか。酒井被告の口は、真一文字に結ばれたまま厳しい表情で、相沢副社長の答弁を聞き入っていた》

【法廷ライブ 酒井法子被告】(4)覚醒剤は「夫に勧められたが、私の意思で使った」法廷であふれる大粒の涙

 《酒井法子被告(38)の情状証人として出廷した元所属事務所「サンミュージック」の相沢正久副社長に対する証人尋問が続く。相沢副社長は、力のこもった声で質問に答える。一方、酒井被告は両手をひざの上に置き、うつむき気味。ハンカチを握りしめる手に力が入っているようにも見える》

記事本文の続き 弁護人「起訴された酒井被告を、サンミュージックは解雇していますね」
 相沢副社長「はい」
 弁護人「なぜ、裁判所に証人として出廷されることになったのですか」
 相沢副社長「酒井被告が…」
 《ここで相沢副社長は一呼吸、間を置き、再び語り出す》
 相沢副社長「…法子が私どもの事務所に14歳で来てから24年間。彼女と一緒に頑張ってきた。今回、世間に対して反社会的な行動をとったということで、契約解除、解雇せざるを得ませんでした。これは断腸の思いです」
 《これまで唇を真一文字に閉じてうつむいていた酒井被告の目から、堰(せき)を切ったように大粒の涙があふれだした》
 相沢副社長「しかしながら、中学3年から預かり、高校を卒業してからタレントとして一緒にやってきた仲。四半世紀、父親代わりのようなものだった。契約解除しても、情の部分を断ち切るのは簡単ではない」
 《酒井被告の涙は止まらない。しきりにハンカチでほおや、あごをぬぐう。村山浩昭裁判官は厳しい表情のまま、酒井被告と相沢副社長の表情を交互にのぞき込んだ》
 相沢副社長「(酒井被告の)お母さん(継母)の術後の経過も思わしくなく、今回お願いされて、更生させるために情状証人として出廷することになりました」
 《一気に言葉をはき出した相沢副社長。酒井被告の表情は落ち着きを取り戻し、再び唇を結んで質問に耳を傾けている》
 弁護人「酒井被告が変わった、と思ったことはありましたか」
 相沢副社長「彼女は気配りがあり、人に対して優しく思いやりもある娘さん。周囲にも細かい配慮をしてくれました。仕事にも一生懸命。でも、結婚後の問題が…。少しずつ仕事に遅れだしたり、変化があった。早めに気付いてやれなかったと、今現在は反省しています」
 弁護人「酒井被告が立ち直るには、何が必要でしょうか」
 相沢副社長「非常に大変なこと。この先、決して覚醒(かくせい)剤に手を染めない環境、誘惑に惑わされないように、目標や固い決意が必要だと思います。言葉だけでなく、大きな目標に向かってお子さんとお母さんに安心してもらえるように」
 弁護人「具体的な課題とは?」
 相沢副社長「決して、芸能界(復帰)をどうのこうのというわけではありません。お母さんとお子さんに何ができるか。お母さんに介護をして、ケアしていく勉強、社会に対して貢献できる物を目指していってもらいたい」
 《思い詰めたような表情のまま、うつむく酒井被告。相沢副社長の言葉に時折、小さくうなずいている》
 弁護人「会社は被告人との契約を解除していますが、どういう援助を考えられていますか」
 相沢副社長「仕事に対するサポートは一切できません。ただ、相沢正久として、彼女が道に迷ったとき、金銭的な物だけでなく、できるだけのアドバイスを送ることができれば」
 弁護人「あなたは、酒井被告に介護の勉強も勧めていますね」
 相沢副社長「はい」
 《ここで、弁護人は証人尋問を終えた。引き続き、検察側の質問に移る》
 検察官「高相法子被告は、夢や希望を与えるタレント。裁判員裁判の広報ビデオにも出演していました。こうした事件を起こすことで失望や、関係者に迷惑をかけることは、肌身に染みていたはずですね」
 相沢副社長「はい」
 検察官「今回の事件で経済的損失は?」
 相沢副社長「あります」
 検察官「どうして(酒井被告が)覚醒剤を使うようなことになったと思いますか」
 相沢副社長「法子自身が優しい子。伴侶(はんりょ)からの勧めとはいえ、覚醒剤は一度使用すると次にも使いたくなるというもの。悔い改めて、頑として更生する気持ちになってほしい」
 《「なぜ使うようになったか」という質問の趣旨が伝わらなかったためか、検察官が再度質問を繰り返す》
 検察官「そのような恐ろしい薬をなぜ使ってしまったのでしょうか」
 相沢副社長「僕は、そこが分からない…。心の弱さがあったのではないでしょうか」
 《言葉を詰まらせる相沢副社長。検察官が質問を終えるのに続き、村山浩昭裁判官が質問を投げかけた》
 裁判官「(酒井被告が)検挙されたときの印象は?」
 相沢副社長「『あの酒井法子がどうして』と。失望とともに、どうして相談してくれなかったのか。それで心を痛め、寂しく思いました」
 裁判官「(覚醒剤について)何か思い当たるところはありますか」
 相沢副社長「2月に、六本木の“その手”の店に(酒井被告が)出入りしているという情報がありました。担当者を通して確認させましたが、『決してそういうことはない』と否定しました。そこは、信頼関係しかありません」
 裁判官「すでに解雇して仕事上の繋がりはないということですが、保釈になった後に、いろいろと話したことはありますか」
 相沢副社長「1度や2度は話しましたが。お母さんの手術のこともありましたし…。ただ、(今後は)お母さんや子供さんに勇気を与えるようにしてほしい」
 裁判官「それで、(福祉などの)学校の資料を渡していると」
 相沢副社長「はい」
 《村山裁判官に質問の終了を告げられ、証言台を後にする相沢副社長。酒井被告はその背中に視線を送りながら、上目遣いに深々と一礼した》
 《続いて、村山裁判官は酒井被告に被告人質問を行うことを告げた》
 裁判官「答えたくないことは答えなくて結構です。ただし、答えるときは、はっきり聞こえるようにお話ください」
 酒井被告「はい…」
 《酒井被告の声は、消え入りそうに小さい》
 弁護人「それでは、私から質問します。あなたは、7月30日に覚醒剤を使用しましたか」
 酒井被告「はい。夫に勧められましたが、私の意思で使いました」
 《酒井被告は、はっきりと通る声で弁護人の質問に答え始める。背筋を張り、受け答えする口調は滑らかだ》
 弁護人「準備してくれたのは誰ですか」
 酒井被告「夫=高相祐一被告(41)=です」
 弁護人「その覚醒剤は誰が手に入れたものですか」
 酒井被告「夫です。夫が手に入れたものですが、私が所持していました」
 弁護人「(起訴状で所持していたと指摘されている)0・008グラムの覚醒剤は、あなたが使用したものの残りですか」
 酒井被告「はい」
 弁護人「あなたと、(夫の)高相祐一さんが使用したものの残りではありませんか」
 酒井被告「はい」

【法廷ライブ 酒井法子被告】(5)覚醒剤使うと「すっきりした」…涙ながらに離婚を口に

 《酒井法子被告(38)に対する弁護人の被告人質問が続く。質問によどみなく答える酒井被告だが、小さな声のため語尾が聞こえにくい》
 弁護人「初めて覚醒剤を吸った4年前の理由について教えて下さい」
 酒井被告「自分が未熟でした。夫に勧められて吸ってしまいました」

記事本文の続き 弁護人「1年前に覚醒剤を再開した理由は?」
 酒井被告「はい。当時は生活リズムが崩れて、肉体的に精神的に疲れていました。私は人に期待されると頑張りすぎるので…。私自身の好奇心もあり、体が動くようになるという感覚がありました。軽率でした」
 《酒井被告は、一度やめた覚醒剤使用を再開した理由の1つに「頑張りすぎる」という自分の性格をあげた》
 弁護人「(酒井被告自身が覚醒剤の)売人から入手したことはありますか」
 酒井被告「ありません」
 弁護人「覚醒剤の害悪について知っていることを教えて下さい」
 酒井被告「はい。覚醒剤は依存性が高く、場合によっては死に至るケースもあります。幻覚や自傷行為、他者への傷害や場合によっては殺人もありえます」
 《酒井被告はすらすらと答える。文面をそらんじるようにも聞こえる》
 弁護人「(覚醒剤を)やめられますか」
 酒井被告「はい」
 弁護人「7月31日、旅先(奄美大島)では使用しないと夫(高相祐一被告)と約束したのに使ってますね?」
 酒井被告「…はい」
 弁護人「どうすればやめられますか」
 酒井被告「危険には自ら近寄らない環境づくりをします。良心に従い当たり前の心を持ち続けることが必要だと思います」
 弁護人「あなたはプロダクションのサンミュージックとの契約を打ち切られましたね」
 酒井被告「はい」
 弁護人「(契約解除について)何か(感想は)ありますか」
 酒井被告「このような罪を犯し、申し訳なく思っています」
 《酒井被告は時折、顔を村山浩昭裁判官の方を見る以外はうつむき加減で、小さな声で答え続ける》
 《弁護側は1枚の書類を酒井被告に見せる》
 弁護人「これはあなたの母親(継母)の誓約書ですね」
 酒井被告「はい。母の文字です」
 弁護人「ここに、あなたを『監督したい』と」
 酒井被告「はい。…母には大変申し訳なく、情けない気持ちです。2度と迷惑かけないようにします」
 弁護人「お母さんの容態は?」
 酒井被告「がんの術後でリハビリ中です。日々容態は良くなっているようです」
 弁護人「看病しますか」
 酒井被告「はい」
 《弁護側は2枚目の紙を酒井被告に見せる》
 弁護人「あなたの謝罪文ですね」
 酒井被告「はい」
 弁護人「9月17日に(記者)会見で話したことですよね」
 酒井被告「はい」
 弁護人「気持ちに変わりはありませんか」
 酒井被告「はい。ありません」
 弁護人「(情状証人として出廷した元所属事務所「サンミュージック」の)相沢(正久)副社長の(介護の勉強して更生するという)提案についてどう思いますか」
 酒井被告「相沢さんについては、このような罪を犯し…本当に申し訳ない気持ちで、感謝しています」
 弁護人「介護のお仕事についてどう思いますか」
 酒井被告「大変素晴らしい仕事で勉強になります。前向きに勉強したいです」
 弁護人「今後の仕事はどうしますか」
 酒井被告「まずは覚醒剤を止めることだと思います。介護を自分の仕事に生かしていきたいです」
 弁護人「(保釈後)あなたは病院に行きましたね」
 酒井被告「『異常は見られない。覚醒剤依存も見られない』と…」
 弁護人「先日、あなたの覚醒剤についての暴露本3冊が出ました」
 酒井被告「…」
 《酒井被告は小さな早口で短く何かを答えたが、聞き取れない》
 弁護人「今後の生活はどうしますか」
 《酒井被告は突然、涙声になる。答えも途切れがち。そして、高相被告との“離婚”を口にする》
 酒井被告「夫と話し合い…私としては…離婚をし…更生するには必要…」
 《その後も何かを言おうとするが、肩をふるわせ涙声で言葉にならない
 《弁護人は酒井被告が落ち着くの少し待って、優しく語りかけるように最後の質問を行った》
 弁護人「最後に何か言うことはありますか」
 《すると、一転し大きな声で答え始める酒井被告》
 酒井被告「悪いのは私です。(高相被告から)覚醒剤を引き離さなかった」
 《再び涙声に転じる酒井被告》
 酒井被告「…日々信頼されるよう、努力したいです。本当に申し訳ありません」
 弁護人「以上です」
 《検察側の被告人質問に移る。検察官は厳しい口調で質問切り出した》
 検察官「検察官から聞きます。初めて覚醒剤を使ったとき、祐一さんから『覚醒剤』と言われたのですか」
 酒井被告「そのときは『すっきりする』と…」
 検察官「使うことに躊躇(ちゅうちょ)は?」
 酒井被告「躊躇しましたが、好奇心と近い人に勧められたので…」
 検察官「そのとき断ろうと思えば断れた?」
 酒井被告「はい」
 検察官「それから去年の夏までは使っていない?」
 酒井被告「はい」
 検察官「理由は?」
 酒井被告「主人は悪いものという認識だったので…」
 検察官「(高相被告に)勧められなかった?」
 酒井被告「はい」
 検察官「その間、祐一さんは使っていましたか?」
 酒井被告「知りません」
 検察官「(覚醒剤の)再開のきっかけは祐一さんですか」
 酒井被告「私の好奇心に基づいて…」
 《声がだんだん小さくなる酒井被告》
 検察官「悪いものと認識していましたか」
 酒井被告「はい」
 《うなだれる酒井被告》
 酒井被告「疲れが取れ、体が軽くなると軽率に使いました」
 検察官「先ほど(弁護側の質問で)初めて使ったときに気分が悪かったと」
 酒井被告「はい。…初めての時もすっきりとしました」
 《覚醒剤の初体験が「すっきりした」と意見を変える酒井被告》
 検察官「初めてのときも(すっきり)?」
 酒井被告「…はい」
 検察官「(覚醒剤を再開した)去年の夏以降はずっとすっきりしていたのですか?」
 酒井被告「はい。大体そう感じてました」
 検察官「効果が切れたときはどうでしたか?」
 酒井被告「(使うと)眠気がなくなり、長く起きていたので、(覚醒剤の効果がなくなると)疲れることがありました」
 《酒井被告は小声ながらも検察側の質問には感情を乱すこともなく淡々と答え続ける》

【法廷ライブ 酒井法子被告】(6)覚醒剤「素人考えで2週間で抜けると思ってた」第三者の指南は否定

 《真っすぐ裁判官をみつめ、検察官の質問に答える酒井法子被告(38)。身動きすることはほとんどなく、傍聴席からその表情をうかがい知ることはできない。消え入りそうな声で淡々と検察官の質問に、受け答えをしている》

記事本文の続き 検察官「1カ月に1回程度、(覚醒=かくせい=剤を)使用していたとのことでしたが」
 酒井被告「いつも使っているわけではありません」
 検察官「使用方法はいわゆる“あぶり”ですか」
 酒井被告「はい」
 検察官「注射器を使用したことはありますか」
 酒井被告「ありません」
 検察官「1人で使ったことは?」
 酒井被告「だいたい主人と使っていました」
 《主人というのは夫の高相祐一被告(41)のことだ》
 検察官「1人で使うときはどのようなときですか」
 酒井被告「主人の使った残りを使用していました」
 検察官「(使用しているとき)子供はどこにいましたか」
 酒井被告「寝室にいました」
 《検察官は覚醒剤の入手ルートについて、酒井被告が知っていたのかどうか確認していく。酒井被告の声は相変わらず小さい》
 検察官「覚醒剤を手に入れていたのは祐一さんですか」
 酒井被告「はい」
 検察官「あなたが手に入れたことはありますか」
 酒井被告「ありません」
 検察官「やめようと思ったことはありますか」
 酒井被告「はい。主人も私も使っていたので一緒に『やめようね』と」
 検察官「でも使用を続けていましたね」
 酒井被告「物事を軽く考え過ぎていました。覚醒剤の怖さを自覚していませんでした」
 検察官「これまでも芸能人が逮捕され、大きな事件になってきました。あなたの場合もそうなると思いませんでしたか」
 酒井被告「はい」
 《酒井被告は、自分自身の覚醒剤使用が発覚すれば大事件になることは十分に分かっていたようだ》
 検察官「(覚醒剤使用で)体調に変化はありませんでしたか」
 酒井被告「食欲がなくなることがあり、ご飯を食べないことがありましたが、急激な変化はありませんでした」
 《逮捕直前の“激やせ”をメディアで指摘されてきた酒井被告。だが本人はあまり認識がないようだ》
 検察官「幻覚や幻聴はありませんでしたか」
 酒井被告「ありません」
 検察官「逮捕されていなければ続けていたと思いますか」
 酒井被告「やめる努力はしたと思います。でも続けていたかもしれません」
 検察官「祐一さんが、どこから手に入れていたか知っていますか」
 酒井被告「知りません」
 検察官「祐一さんが暴力団や外国人の密売人から買っているとは思いませんでしたか」
 酒井被告「そのような人から買っているとは、思っていました」
 検察官「いくらで、どのくらいの量を買っていたのか知っていますか」
 酒井被告「知りません」
 検察官「覚醒剤を買うことで、暴力団や違法な組織に金を渡すことになるとは思いませんでしたか」
 酒井被告「本当に軽率な行為で反省しています」
 検察官「覚醒剤、(吸引用の)パイプ、ストロー、ポーチなどを自宅の洗面所に置いていたのですね。『子供が見たらどうしよう』とは思いませんでしたか」
 酒井被告「思いました」
 検察官「なのに置いていた?」
 酒井被告「軽率でした」
 《検察官が続いて注目したのは、酒井被告の“逃亡劇”についてだ。何者かによって捜査当局の手をすり抜けるための指南が行われたことはなかったのか》
 検察官「祐一さんが逮捕された後、覚醒剤を体の中から消すために逃亡していたのですね。なぜ時間がたつと体から消えるのを知っていたのですか」
 酒井被告「詳しい日数は分からないが、素人考えで2週間くらいで抜けるかなと思っていました」
 検察官「本当に自分で思っていたのですか。誰かに聞いたのではないですか」
 酒井被告「聞いたのではありません」
 検察官「祐一さんから聞いたことは?」
 酒井被告「主人はもしかしたらそういうことを教えてくれたのかもしれませんが、私は知りません」
 検察官「いま考えて、(高相被告が逮捕された際に)どうしておけばよかったと思いますか」
 酒井被告「いま考えると、なぜあのような行動を取ったのか…。情けなく思います。すぐに出頭するべきでした」
 検察官「(逃走中に)大きく報道されていたのは知っていますね。この報道を見たことで、覚醒剤を使っても逃げればなんとかなると思う人が出てくるとは思いませんか」
 酒井被告「恥ずかしく情けない行動だったと思います」
 《「情けない」「反省している」などの言葉を繰り返し口にする酒井被告》
 検察官「先ほど、覚醒剤をやめると言っていましたが、本当にやめられますか」
 酒井被告「はい」
 検察官「なぜそう考えるのですか」
 酒井被告「今回のことで多くの方々の信頼をなくしました。いつも後悔と反省の念を抱いています」
 検察官「疲れを取るために使ったということですが、今後疲れたときはどうしますか」
 酒井被告「頑張ることが悪いことではないが、ペース配分を考えていきたいです」
 検察官「いったん覚醒剤を使うと、やめるのが困難なことを知っていますか」
 酒井被告「はい」
 検察官「自分の力だけではなく、更生施設を使うことは考えていますか」
 酒井被告「自分のバランスが取れなくなったら、すぐにカウンセリングを受けます。私に対する監視の目は厳しくなると思うので、ご指導のもとに、しっかりと生活していきたいと思います」
 検察官「民間施設の助けを借りる用意はありますか」
 酒井被告「それほど依存を感じていないので分からないですが、必要であればお世話になります」
 検察官「1年もの間、やめられなかった。依存性があるのではないか」
 酒井被告「はい。心の弱さがありましたが、いまは一切やることはないと誓っています」
 検察官「祐一さんとは離婚するのですか」
 酒井被告「そのことは主人と話すことができていません。主人と話して決めることですが、お互いに更生していかなければならないと思います」
 《酒井被告の「依存性はないと思う」との言葉に疑問を呈する検察官。すでに午後2時50分。公判終了時間は当初、午後2時半の予定だったが、オーバーしている。しかし、検察官は質問を続ける。声の小ささは相変わらずだが、酒井被告は落ち着いた様子だ》

【法廷ライブ 酒井法子被告】(7)「自分から『いる』と言ったことはあったの?」「はい」

 《検察官からの質問に答える酒井法子被告(38)。福祉や介護に携わって更生しようという気持ちを、改めて強調する》
 検察官「今後、あなたは何かしらの社会貢献を考えているのですか」
 酒井被告「はい。先ほども申し上げましたが、福祉や介護のことを勉強し、仕事として自分なりに取り組んでいけたらと思っております」

記事本文の続き 《検察官からの質問はこれで終了し、続いて村山浩昭裁判官による質問が始まった》
 裁判官「裁判所から、何点か質問しますね」
 酒井被告「はい」
 裁判官「あなたが覚醒剤を使用していたとき、『あぶり』という方法だとおっしゃっていましたが、ほかの方法で吸ったことはありますか」
 酒井被告「ありません」
 裁判官「入手先は、常に祐一さんからですか」
 酒井被告「はい」
 《夫の高相祐一被告(41)が覚醒剤を入手した経緯を改めて確認する裁判官》
 裁判官「祐一さんがどこから手に入れていたかは聞いたことはないのですか」
 酒井被告「ありません」
 裁判官「祐一さんと『2人でやめようね』と話したのは、いつごろのことだったんですか」
 酒井被告「はい、矛盾もありますが、主人も後ろめたさがあったようなので…」
 《質問と答えが食い違っている。村山裁判官が穏やかな口調でもう一度問い直した》
 裁判官「もう一度聞きますよ、夫婦で『やめようね』と言い始めた時期はいつですか」
 酒井被告「はい、申し訳ございませんでした。昨年の暮れごろだったと思います」
 裁判官「これまでのあなたの話だと、祐一さんはあなたに覚醒剤を勧めることについて、後ろめたさを感じていたようですが」
 酒井被告「はい」
 裁判官「あなたも、悪いことだと知っていたんですよね」
 酒井被告「はい」
 裁判官「では、なぜ2人で覚醒剤を続けたんですか」
 酒井被告「はい…」
 《答えに窮したのか、突然、小さな声になる酒井被告。「はい…」の後、酒井被告は何かを答えたが、傍聴席からは聞き取れなかった》
 裁判官「ところで、覚醒剤は疲れたときなんかに使っていたようだけど、あなたから祐一さんに(覚醒剤を)『いる』と話したことはあったんですか」
 酒井被告「はい」
 裁判官「使ったときは、疲れが取れるとかすっきりしたとか、そういった感覚はあったんですか」
 酒井被告「はい」
 裁判官「あなたは、祐一さんが捕まった後に所在不明になったことについて、『逃げたと思われても仕方がない』と言っていましたね」
 酒井被告「はい」
 裁判官「その後、出頭する気になったのはなぜですか」
 酒井被告「7日、私に逮捕状が出ていることをテレビの報道などで知りまして、出頭したいと思いました」
 《村山裁判官の方をまっすぐ向いて、よどみなく話す酒井被告》
 裁判官「今後、お母さん(継母)の面倒を見るといっていましたが、お母さんとはどのぐらい密に連絡を取っていたんですか」
 酒井被告「はい、結婚前はずっと一緒に住んでいましたが、結婚後は月に1回会うぐらいです」
 裁判官「今回の保釈後は会ったんですか」
 酒井被告「会っていません」
 裁判官「病状などは、なんで分かったんですか」
 酒井被告「電話で連絡を受けていたからです」
 裁判官「お子さんとは、今は離れて暮らしているんでしたね。心配ではないんですか」
 酒井被告「はい、大変心配です。ただ、今は私と一緒に住む方が、もっと大変だと思います。ですので、安心できる(知り合いの)家族にあずかっていただいています」
 裁判官「今後について、あなたは『福祉や介護の仕事をする』と話していましたが、今までの芸能人の仕事とはまったく違う仕事だと思いますが」
 酒井被告「はい、大変なことばかりだと思います。でも、目標を持って生活した方がいいと助言もいただきましたし、私の仕事として介護の仕事をしていきたいと考えております」
 裁判官「ただ、芸能人の仕事もとても大変だとは思いますが、介護や福祉の仕事も別の意味でとても大変なことだと思いますが」
 酒井被告「はい、決して生やさしいものではないと考えております。ですが、今後は社会のためになることをやっていきたいと思っているんです」
 裁判官「覚醒剤ですが、また使いたくなることもあるんではないですか」
 酒井被告「いえ、二度と使うことはありません」
 裁判官「なぜそう断言できるのですか」
 酒井被告「今回のことで、覚醒剤の怖さを知ったためです」
 裁判官「怖さとは、どんな点ですか」
 酒井被告「今回のことで多くの方に迷惑をかけ、信頼を一気に失い、大変悲しい思いをしたからです」
 裁判官「自分自身が築いてきたものを、壊してしまったということですね」
 酒井被告「はい」
 裁判官「勾留中、お子さん(長男)のことは考えましたか」
 酒井被告「はい、本当につらくて悲しい思いをさせました。子供にとって恥ずかしくない親になるために、一生懸命、頑張りたいです」
 《村山裁判官の質問は終了した。次は、検察官による論告の読み上げが行われ、続いていよいよ求刑が言い渡される》

【法廷ライブ 酒井法子被告】(8完)「軽率な行いで…本当に申し訳ない」 鼻すすりながらゆっくりと

 《男性検察官による論告求刑が始まった。酒井法子被告(38)は、ひざの上で両手を固く重ねたまま、静かに聞き入っている》
 検察官「8月3日に自宅で覚醒(かくせい)剤を所持していた事実、7月30日に(鹿児島県の)奄美大島で使用した事実により、被告人が有罪であることはすでに示した証拠から明らかです」

記事本文の続き 《検察官の声を、酒井被告は、少し唇をかみしめるようにしながら視線をひざに落としている。検察官は「情状は4点です」と述べ、さらに続ける》
 検察官「覚醒剤を撲滅するためには厳しい処罰が必要です。覚醒剤は脳の中枢神経系に作用し、効けば快感、切れれば苦痛をもたらします。やがて悪循環に陥り、自分ではやめられなくなる恐ろしい薬です。覚醒剤の撲滅は社会の安全、安心を次の世代に引き継ぐための国民の悲願であり、そのためにはたとえ1回の使用や所持であっても厳しい処罰が必要です」
 《酒井被告の口元はきつく結ばれたままだ。検察官は「2点目は、被告人の覚醒剤との親和性についてです」と続けた》
 《「親和性」とは、結びつきやすい性質のこと。つまり、酒井被告の覚醒(かくせい)剤への依存度の高さなどを指す》
 検察官「被告人は数年前から断続的かつ多数回にわたり、覚醒剤を使用しています。さらに今回は家族旅行でも使用していたほか、家族が出入りする(自宅の)洗面所に覚醒剤が置かれていました。これは日常的に夫婦で使用していたことを示し、被告人の親和性を示すものです」
 《続いて検察官は、事件の社会的影響の大きさについても指摘した》
 検察官「被告人は著名な芸能人として、夢を与える仕事をしていました。今回、被告人が逮捕、起訴されたことで多くの人に衝撃を与え、所属事務所にも大きな損害を与えました。被告人にあこがれる若年層が安易に薬物に手を出すことも考えられる中で、薬物を続けてきた責任は重い。子供に対しても、どれだけ影響を与えるかは分かっていたはずです」
 《検察官は、母親としての責任の重さについても強調した》
 検察官「被告人は夫が逮捕された際に駆けつけたが、尿から自分の覚醒剤使用が発覚するのを恐れ、逃走しました。逃走が報道されたことで、『逃走すれば覚醒剤成分が体内から抜ける』という印象を社会に与えました。著名な芸能人であり母親だった被告人は強く非難されるべきです」
 《事件が大きく報道されたことなどで酒井被告が受けた“ダメージ”についても触れていく》
 検察官「一連の報道で、芸能人として今後は活動できないなど、社会的な制裁を十分に受けています。しかし、厳しい処罰を受けても再び薬物を使用する人が多いことも事実。再出発のためにも、断ち切る強い意思が必要です。被告人に対しては、害悪を理解し、『やめる努力をしよう』と思わせる刑罰が必要です」
 《そして、一息ついた後、検察官は求刑を読み上げた》
 検察官「被告人に懲役1年6月を求刑します」
 《一瞬、法廷に緊張が走る。酒井被告はぴくりともせず、検察官の方を見つめている。続いて、弁護人が立ち上がり、最終弁論書を読み上げ始める》
 弁護人「被告が所持していた覚醒剤は0・008グラムです。いずれの公訴事実も非難されるべきですが、一度使った後に数年間使わなかったことや、使い始めた後も、多くて月数回しか使用していなかったことなどから、常習性はないといえます。また、夫が覚醒剤を準備し、自分では用意していません。再犯の可能性は低く、今後も手を出さないと言っています。今後は夫とは一定の距離を置くことを望んでおり、何より、被告人には前科前歴がありません。寛大な処置を求めるものであります」
 《最終弁論が終わった。村山浩昭裁判官が「被告人は前へ」と促すと、酒井被告はゆっくりと立ち上がって証言台まで進んだ》
 裁判官「これで本件の審理を終了します。最後に何か言っておきたいことはありますか」
 《数秒の間があいた後、酒井被告が小さな声でゆっくりと話し出した》
 酒井被告「私の軽率な行いにより世間を騒がせ、本当に多くの方々にご迷惑をおかけし、本当に申し訳ございませんでした」
 《泣いているのか、時折、鼻をすするような音が聞こえる。酒井被告は言葉を続けた》
 酒井被告「今後は決して覚醒剤を使用することなく、信頼を取り戻すべく一生懸命頑張りますので…。本当に申し訳ありませんでした」
 《村山裁判官に向かって、深々と頭を下げる酒井被告。検察官、裁判官と次回期日の調整を終えた後、村山裁判官が酒井被告に語りかけた》
 裁判官「では被告人、次回期日は11月9日午前11時からです。特にこちらから連絡はしませんので、自分で裁判所までいらしてください。今日と同じ法廷です」
 《村山裁判官が「分かりましたね?」と念を押すと、酒井被告は小さな声で「はい」と答えた。午後3時22分、閉廷が宣言されると、混乱を避けるためか、裁判所職員が「傍聴人は座ってお待ちください」と呼びかけた。酒井被告は入ってきたときと同じ、裁判官に向かって左側の扉から退廷した。傍聴席に座っていた元所属事務所「サンミュージック」の相沢正久副社長も、後を追うように、同じ扉から退廷した》
 =(完)


【酒井法子 判決】

 《覚せい剤取締法違反(所持、使用)の罪に問われた元女優、酒井法子(本名・高相法子)被告(38)の判決公判が9日午前、東京地裁で始まった。トップアイドルが夫婦で覚醒剤を所持・使用していたことが判明したうえ、6日間にわたる“逃亡劇”の末、逮捕・起訴されたことなどから世間の注目を集めた事件。いよいよ酒井被告に、判決が下される》

 《検察側の起訴状では、今年8月3日、東京都内の自宅で覚醒剤0・008グラムを所持していたほか、7月30日、鹿児島県の奄美大島のホテルで、覚醒剤を吸引したとされる酒井被告。10月26日に行われた初公判では、起訴状の内容を全面的に認めた。また、4年前から使用していたことも認め、「夫に勧められた」「自分が未熟だった」「生活のリズムが崩れて、肉体的に精神的に疲れていた」などと動機を説明した》

 《検察と弁護側で起訴内容に争いはないため、争点は刑の重さに絞られているが、覚醒剤への依存性の有無が判決でどう判断されるかも注目される。検察側は論告で、「数年間にわたって断続的に多数回、覚醒剤を使っており、覚醒剤に対する依存性が認められる」として、懲役1年6月を求刑。一方、弁護側は「常習性はなく、自分で覚醒剤を用意したのではない。再犯の可能性も低い」として寛大な刑を求めている。》

 《今年8月3日未明、夫の高相祐一被告(41)=同罪に問われ公判中=が東京・渋谷の路上で警視庁の職務質問を受けた際、現場に駆けつけながら、直後に姿を消し、6日にわたる“逃亡劇”の果てに逮捕・起訴された酒井被告。初公判では、「福祉や介護」の仕事をしながら更生を図る決意を表明し、高相被告とは離婚する意思を強調してみせた。今月27日に判決が予定されている高相被告より一足先に、判決を受けることになる。どういう風に、裁判官の“結論”を受け止めるのか》

 《初公判と同じ425号法廷。すでに法廷中央前方に村山浩昭裁判官が座っている。検察官もすでに着席しているが、弁護人席は空席。傍聴席は、一般傍聴人と報道記者で満席だ。開廷予定時間の3分前の午前11時27分、村山裁判官が口を開いた》

 裁判官「傍聴人の皆さん、法廷は静かに出入りしてください…」

 《判決の主文を聞いたら、すぐに法廷を飛び出ていくつもりの報道記者らへ向けて、注意を促しているようだ。村山裁判官が指示すると、弁護人が入廷する》

 裁判官「では被告人を入廷させてください」

 《この指示で、裁判官に向かって左側の入り口が開く。酒井被告が入廷してきた。黒い上下のパンツスーツ。黒いパンプス。中には黒いブラウス。短い髪は初公判と同じように、後ろで一部を束ねている。裁判官席に1度深々と礼すると、何も言わず、弁護人席の前の被告席に座った。固い表情で、じっと前を見つめている。前回の公判で隠されていた左足首のタトゥーは、パンツスーツで今回も隠されている。左手薬指は青っぽく見えるが、傍聴席からタトゥーははっきり確認できない。午前11時28分、予定時間の2分前だが、村山裁判官が開廷を宣言する》

 裁判官「それでは、開廷します。被告人は証言台の前へ立ってください」

 《裁判官に促された酒井被告は立ち上がり、ゆっくりと歩いて、法廷中央の証言台に立った。無言で、じっと裁判官の方を見つめる酒井被告。一瞬の沈黙の後、裁判官が口を開く》

 裁判官「高相法子被告ですね」
 酒井被告「はい」

 《「高相法子」と本名で呼びかける村山裁判官。いよいよ判決文の読み上げが始まる。法廷内に走る緊張感。酒井被告は正面の裁判官を見据えたまま動かない》

 裁判官「被告人を懲役1年6カ月に処す」

《一瞬の沈黙》

 裁判官「この裁判が確定した日から、3年間、その刑の執行を猶予する。東京地方検察庁で保管中の覚醒剤を没収する」

 《判決主文の読み上げまで終わると、法廷内の多くの記者がいっせいに立ち上がり、出入り口に向かった。しかし、酒井被告は、ピクリともしない》

 裁判官「もう1度言います。懲役1年6カ月に処す。3年間、刑の執行を猶予する。覚醒剤は没収する」

 《裁判官がこう繰り返すと、酒井被告は無言で、コクリと1度うなずいた》

 《酒井法子被告(38)に懲役1年6月、執行猶予3年の判決主文を言い渡した村山浩昭裁判官。引き続き、量刑の理由などについて説明を始める》

 裁判官「それでは、被告人は椅子(いす)に座って聞いてください。罪となる事実は次の通りです」

 《村山裁判官は(1)酒井被告が平成21年7月30日ごろ、鹿児島県奄美市のホテルで、覚醒(かくせい)剤を吸引したとされること(2)同年8月3日に東京都港区南青山の自宅で覚醒剤0・008グラムを所持していたとされることの2点を、「罪となるべき事実」としてあげた》

 《さらに、検察官の起訴内容の証明も十分だと認めた。酒井被告は背筋を伸ばし、裁判官を見据えながら判決に聞き入っている》

 裁判官「それでは、判決理由について、被告人に簡単に説明したいと思います」
 「第1の事実ですが、被告人は家族で行った旅行先のホテルで、夫が用意してくれたガラスパイプの中に入っていた覚醒剤を火であぶって、その煙を吸引して使用しました」
 「また、第2の事実ですが、以前自宅で、覚醒剤をガラスパイプに入れて火であぶって煙を吸った後、パイプに残った覚醒剤を後日、さらに使用する目的で、ガラスパイプから削り落として保管、所持していました」

 《酒井被告は、裁判官の一言一言に、かすかにうなずくようなしぐさを見せる》

 裁判官「旅行先で覚醒剤を使用したり、使い残しの微量の覚醒剤をさらに使用するため保管するなど、被告人の覚醒剤に対する親和性や、執着は明らかです」
 「供述によると、被告人は4年前ころに夫に勧められて初めて覚醒剤を使用した後、昨年の夏ごろからは毎月のように月1回、ないしは数回程度、夫と共に使用するようになりました。被告人から使用を持ちかけたこともあるというのですから、常習性や、ある程度の依存性が認められます」

 《時折、酒井被告に視線を送りながら声をあげる村山裁判官。酒井被告に変わった様子は感じられない。村山裁判官は覚醒剤使用の発覚を恐れ、逃亡した酒井被告の悪質性にも言及する》

 裁判官「被告人は夫が警察官から職務質問を受けた現場にいたのに、夫が逮捕されるとみるや現場から立ち去り、覚醒剤使用の発覚を免れようと、転々と逃走するなど、事後の行動も卑劣です」
 「覚醒剤が社会に及ぼす害悪が大きいことも、検察官の主張する通りです。刑事責任は決して軽いとはいえません」

 《厳しい指摘を受けた酒井被告は一瞬、肩を上下させた》

 裁判官「しかしながら、現在では本件を認め、反省を深めています。夫に勧められたとはいえ、覚醒剤を使用した自分の責任を直視し、覚醒剤と決別、絶縁する決意をしています。そのために、覚醒剤の使用を勧めた夫との離婚も考えています」
 「また、お母様(継母)が監督を約束していること、すでに芸能プロダクションを解雇されるという、当然とはいえ、社会的な制裁を受けていること。さらに、前科のないことなど、酌むべき事情も認められます」
 「よって、今回に限っては刑の執行を猶予するのが相当であるとしました」

 《判決文を読み終えた村山裁判官。一息つくと、酒井被告を見つめながら、念を押すように語り始めた》

 裁判官「今言ったように、あなたの罪は決して軽くないと考え、今後覚醒剤と絶縁してください」

 《傍聴席からは表情はうかがえないが、この言葉を聞いて、酒井被告は深々と頭を下げた》

 裁判官「今回は執行猶予となり、裁判確定から刑務所に入るということは、当面ありません。ただし、執行猶予期間中に(事件を起こし)有罪判決を受ければ、1年6カ月間、服役することになり、結局、(この事件とあわせて)2つの刑を受けることにもなります」
 「逆に3年間経過した時点で、刑を受けることはなくなります」

 《村山裁判官に対して、酒井被告は再び、深々と頭を下げた》

 裁判官「被告人は生活態度をあらため、今回の犯罪に向かい合うことが重要な問題です。執行猶予中は、十分注意してください」

 《更生に向けて何度も念を押す村山裁判官。酒井被告は何度もうなずくしぐさを見せていた》

 裁判官「あなたは芸能人として活動をされ、ドラマなどで色々な役をされていたようですが…。残念ながら今回のことは現実です。事件も、裁判を受けたことも、現実のものとして、その重みを今後、実感することになるでしょう」
 「その重みに負けず、薬物から完全に手を切って更生されることを願っています。被告人は、判決の主文は理解できましたか」
 酒井被告「はい」

 《法廷にはっきり通る声で答える酒井被告。村山裁判官は顔をのぞき込むように、再び問いかけた》

 裁判官「それでは、実際に言ってみてください」
 酒井被告「…」

 《質問の意味が理解できないのか、口ごもる酒井被告》

 裁判官「あなたの受けた刑を、言ってみてください」
 酒井被告「懲役1年6カ月。3年の執行猶予です」
 裁判官「被告人にとって、その刑期は重要なものです。くれぐれも忘れないでください」
 《刑の言い渡しを終えた村山裁判官。退廷するように促された酒井被告は、裁判官に向かって深々と一礼した。そして、無表情で足早に法廷を出ていった》
 =(完)

目次へ

14、法廷ライブ 高相祐一

【法廷ライブ 高相被告】(1)スーツ姿で証言台へ「トイレで使用していません」現物の覚醒剤示され…

 《元アイドルの妻に覚醒(かくせい)剤を勧め、夫婦で捕らわれの身になる結果を招いた夫は、法廷で何を語るのか-。覚せい剤取締法違反の罪で起訴された女優の酒井法子被告(38)の夫で、同法違反罪(所持、使用)に問われた自称プロサーファー、高相(たかそう)祐一被告(41)の初公判が21日午前10時から、東京地裁(稗田雅洋=ひえだ・まさひろ=裁判官)で開かれた》

 《審理が行われるのは地裁4階にある425号法廷。傍聴席は42席だ。同法廷では今後、23日に麻薬取締法違反の罪で起訴された押尾学被告(31)の初公判、26日には高相被告の妻の酒井被告の初公判がそれぞれ予定されている。いずれの公判でも傍聴希望者が殺到するとみられており、この日は1557人が東京地裁を囲むように並び、“プラチナチケット”と化した傍聴券を求めた》

 《捜査関係者などによると、高相被告はこれまでの調べの中で、自らの覚醒剤の使用状況を詳しく述べてきたほか、酒井被告についても「4年ぐらい前に妻に覚醒剤を勧めた。妻はその後、使用していた」などとさまざまな供述を行っているという。法廷でも、高相被告の口から酒井被告の覚醒剤使用に関する供述は飛び出すのだろうか》

 《開廷3分前、高相被告がすっと入廷、正面向かって右手の長いすに腰を下ろした。チャコールグレーに白のストライプが入ったスーツ、白いワイシャツ、シルバーのネクタイを着用し、黒の革靴を履いている》

 《保釈されたときには一部、茶色い髪の毛が見えたが、この日は真っ黒に染められている。後ろ髪は襟に届くぐらいの長さ。前髪は軽く左に流している。保釈時同様、下唇の下とあごには、短いひげを伸ばしていた》

 《午前9時59分、42席の傍聴席がすべて埋まった。傍聴人はかたずをのんで公判の開始を待っている。ここで正面に座った稗田裁判官が声を上げた》

 裁判官「では始めます」

 《稗田裁判官に促されて、高相被告が証言台の前に立った》

 裁判官「名前は?」

 高相被告「高相祐一です」

 《生年月日や住所、本籍などを尋ねる稗田裁判官。高相被告は、稗田裁判官をじっと見つめながら、次々と問いに応えていく》

 裁判官「仕事は?」

 高相被告「プロサーファーです」

 《起訴状にあるとおり、「プロサーファー」と名乗った高相被告。次に検察官による起訴状の読み上げに入る》

 裁判官「では、起訴状を検察官は読み上げてください」

 《それまで正面を向いていた高相被告が、左手の検察官に体を向けた》

 検察官「では、読み上げます」

 《起訴状によると、高相被告は8月2日、東京都港区の青山公園で覚醒剤を吸引し、翌3日には渋谷区の路上に止めた車内で覚醒剤0・817グラムを所持、同月9日には千葉県勝浦市の別荘で覚醒剤0・097グラムを所持したとされる》

 《捜査関係者などによると、高相被告は捜査段階から起訴事実を認めており、公判の争点は罪の重さとなる見込みだ》

 《検察官による起訴状の読み上げが終わると、高相被告はまた稗田裁判官の方を向いた。黙秘権についての説明が始まると、はっきりした口調で「はい」「はい」と短く声を発していく。続いて罪状認否にうつる稗田裁判官》

 裁判官「それでは尋ねます。8月21日付の起訴状には2つの事実が記されています。それぞれ伺います。8月2日に港区内の公衆便所で吸引したとありますが、違っていますか」

 高相被告「はい」

 裁判官「違っているということですか」

 高相被告「トイレでは使用していません」

 裁判官「トイレでは使用していないのですか」

 高相被告「自宅のマンションで吸引しました」

 《はっきりした口調で、吸引自体は認めたものの、使用場所が違うと主張する高相被告。一瞬、法廷内がざわめく》

 裁判官「では、8月3日に自動車内で所持していたことについては?」

 高相被告「間違いありません」

 《その他の起訴事実については、いずれも「間違いありません」「(間違っているところは)ないです」と答えた高相被告。稗田裁判官に「ではそちらの席に戻ってください」と言われ、向かって右手の長いすに腰を下ろした》

 裁判官「弁護人はいかがですか」

 弁護人「被告と同様です」

 裁判官「では冒頭陳述をお願いします」

 《長いすに浅めに座った高相被告。軽く握りしめた両手の指に彫られた青い入れ墨が目立つ。口を真一文字に結んで、検察官を見つめている》

 検察官「では、読み上げます」

 《検察官は早口で冒頭陳述を読み上げ始めた》

 検察官「被告は20歳のころ、初めて覚醒剤を使用し、平成20年ころからは2週間に1回くらいの割合で密売人から覚醒剤を購入し、使用していた」

 《その後、職務質問の際に犯行が発覚したこと、千葉県勝浦市にある別荘には今年6月下旬ごろに密売人から購入した覚醒剤を保管していたことなどを述べ、検察官による冒頭陳述は終了した。続いて証拠調べに入る》

 検察官「1号証は、現行犯で逮捕されたときの手続書です。警ら中の警察官が、バックル上部にゴムで取り付けたものを見つけ、見せるように言ったところ拒否しました。その後、バックル上部についていたきんちゃく袋を見せ「じつはシャブが入っています」と答えたことから、中に入っていた白い結晶を調べたところ、覚醒剤反応が出たので、8月3日に逮捕しました」

 《次々に証拠を羅列していく検察官》

 裁判官「では、証拠物と写真を提示してください」

 《稗田裁判官に促された検察官が証言台の前に出てくる。長いすに座っていた高相被告も立ち上がった》

 《検察官が手にしているのは、高相被告の関係先から押収された覚醒剤の現物だった》

 《透明のポリ袋を掲げる検察官。中には微量の白い粉末が見える》

 検察官「見覚えはありますか」

 高相被告「はい」

 検察官「これは?」

 高相被告「はい」

 《ポリ袋に入れられたアルミ箔(はく)や白い粉末を次々に掲げる検察官。それに対し、高相被告は「はい」「はい」と声を出し、うなずきながら確認していく》

 《次に、押収物の写真が高相被告に見せられた。傍聴席から、ヒョウ柄やピンク地のポーチがのぞき見える。これらは、妻の酒井被告のものなのだろうか…》

【法廷ライブ 高相被告】(2)飲食禁止の法廷でほうじ茶…父の言葉にタトゥーの入った手で

《検察側から見せられた証拠写真を1枚1枚「はい、はい…」とうなずきながら確認を終えた高相祐一被告(41)。続いて稗田(ひえだ)雅洋(まさひろ)裁判官が覚醒(かくせい)剤と、覚醒剤が付着したアルミ箔(はく)を別の証拠とすることなどを確認し、検察側の証拠が提出された》

 《検察官は証拠として提出する供述調書の内容を詳細に説明し始めた》

 検察官「初めて覚醒剤を始めたのは20歳ぐらい。今から4年前、場所はハワイ、イラン人から覚醒剤を1パケ買い、月に1回くらい電話して買うようになり、1年くらいしてやめようと思った。今から1年くらい前に再び始め、週1回ぐらいの割合で同じ1万円で今までの3分の1くらいの量を買い、2パケを2週間に1回使うようになった」

 検察官「一番最後に使ったのは8月2日午後9時半、青山公園男子便所であぶりの方法で使った。これは奄美大島のレイブ会場で拾ったもので、一緒にパイプも拾った。奄美では自分で使うつもりで覚醒剤を持っていた。(千葉県)勝浦(市)の自宅にあったものは、イラン人から買ったものでした-などの記載があります」

 裁判官「弁護側から書証として見取り図と供述書、使用場所について出されています

 検察官「同意します」

 裁判官「では、採用して調べます」

 弁護人「最後に覚醒剤を使用した場所ですが、8月2日午後9時半、青山公園とされていますが、実際は自宅マンションで使ったのが最後なので訂正します。詳細は被告人質問で話しますので省略します」

 《稗田裁判官は弁護側証人として高相被告の父親が呼ばれていることを明らかにし、検察側が同意した。父親の出廷が決まった高相被告は、うつむいたまま、身じろぎもせず座っている》

 《稗田裁判官に促され、紺色のスーツ姿の父親が出廷した》

 裁判官「お名前は」

 父親「高相次郎です」

 《父親が宣誓を読み上げている間、高相被告は振り返り、女性弁護人に何か話しかけた》

 弁護人「本人が緊張しているので、水を飲みたいというのですが…」

 裁判官「ああ、水ですか。どうぞ」

 《弁護人が高相被告にペットボトルのほうじ茶を手渡すと、稗田裁判官は、あわてた様子で、さらに声をかけた》

 裁判官「あー、本人ですか。必要ならば一口飲んで返してください」

 《裁判官は父親のことだと思ったようだ。法廷内は飲食禁止のため、困惑した表情を浮かべてたしなめた。続いて、被告人質問が女性弁護人から始まった》

 裁判官「では、弁護人、どうぞ」

 弁護人「被告人のお父様ですね」

 父親「はい」

 弁護人「お仕事は」

 父親「会社を経営してます。スポーツ用品の販売です」

 弁護人「被告は保釈後、ご実家で過ごしてますね。どのような生活をしていますか」

 父親「病院でカウンセリングをしています。10月7日から通っています」

 弁護人「それは本人が希望したのですか。お父様が勧めたのですか」

 父親「本人から申し出がありました」

 弁護人「被告が覚醒剤をやっているのを知っていましたか」

 父親「まったく私は知りませんでした」

 《高相被告は父親と弁護人のやりとりをうつむき加減で聞いている》

 弁護人「どうしてこのようなことになったと思いますか」

 父親「しばらく会っていないので、そのようなことをやっているとは夢にも思いませんでした。もう少し子供とコミュニケーションを取っておけばよかったです」

 弁護人「覚醒剤をやっていると知ってどう思いましたか」

 父親「ただただ愕然としました」

 弁護人「被告に面会したのはいつですか」

 父親「警察にお世話になって5日後です。家の周りにあまりにもマスコミが多くて、行けませんでした」

 弁護人「何回くらい面会しましたか」

 父親「15回です」

 弁護人「週に3、4回?」

 父親「はい」

 弁護人「本人は何と言っていましたか」

 父親「本当に大変なことをしてしまったと。反省していましたが、言葉になりませんでした」

 弁護人「お父様は何と言いましたか」

 父親「警察に1日も長くお世話になって、ありのままを話しなさいといいました。世の中の皆様にご迷惑をかけたので…」

 《父親の言葉をじっと聞いていた高相被告は、左手で目元をぬぐった。指には青いタトゥーが見える。突然思いが込み上げたのか、はなをすすり、しゃくり上げる様子を見せ始めた。ただ、傍聴席からは、こぼれる涙は見えない》 

【法廷ライブ 高相被告】(3)「奄美大島で覚醒剤拾った」証言に 弁護人「落ちていることあるの?」

 《覚せい剤取締法違反(所持、使用)罪で起訴された高相祐一被告(41)の父親への証人尋問が続いている。弁護人は高相被告の逮捕後の状況について父親に尋ねていく》

 弁護人「証人や奥さんもマスコミにさらされましたね」

 父親「はい」

 弁護人「商売でもマイナスになりました?」

 父親「はい」

 弁護人「面会や弁護人と話したり、祐一被告のために動いて保釈引受人にもなりましたね?」

 父親「はい。私と祐一は親子で、祐一は更正していかないといけない。家族とか祐一の家族とかのためにも祐一を更生させないといけない。身近なところでコミュニケーションをとるように考えていきます」

 弁護人「そのための手助けや支援をしてくれますね?」

 父親「はい」

 弁護人「奥さまも同じ気持ちですか」

 父親「はい」

 《身勝手な動機から覚醒(かくせい)剤に走った息子に対し、父親は法廷でも温かい言葉を投げかけ続けた。微動だにしない高相被告の心には、その言葉が届いているのだろうか》

 弁護人「覚醒剤はなぜいけないと思いますか」

 父親「祐一の身も心もぼろぼろにする。他人に危害を与えることもあり、更生させないといけないと祐一に強く望んでいます」

 弁護人「覚醒剤に手を出した理由を聞きましたか」

 父親「ストレスがたまっていたと言っています」

 弁護人「2度と覚醒剤をしないためにどうしたらいいと思いますか」

 父親「病院でカウンセリングを受けて、自分の反省とか、どうしたら覚醒剤から洗うことができるかを考えることですね」

 《目を閉じ、タトゥーの入った手を組んだままじっと聞き続ける高相被告。父親が弁護人にコミュニケーションを重視していく考えを伝えると、高相被告は唇を真一文字にぐっとかみしめた》

 弁護人「できるだけ接触を持っていこうと?」

 父親「祐一には妻も子供もいる。何よりも自身が立ち直り、世間にも迷惑をかけている。真摯に受け止めて更生してほしい」

 弁護人「更生の中では、仕事や家族のことがあるが、仕事はどんなことをしますか」

 父親「サーフィンが仕事でもあり、しっかりした職業について、前に向かって進んでいくことが大切。しっかりした職業に就くのが大切だと思います」

 《父親は「しっかりした職業に就く」と、息子への希望を打ち明けた一方、サーフィンを愛する息子に対する親心を見せながら、高相被告が中学、高校生だったころの思い出を話していく》

 父親「中高生のころから青山の表参道から、1番電車でサーフィンに行っていたのを覚えています。サーフィンが生きがいだと思うので、サーフィンを続けながら自分の好きな仕事をもう一度再確認して、前に進んでほしい」

 《父親の親心が響いたのか、目を閉じていた高相被告は大きく目を開け、父親の話を聞き続けた。父親が話し終えると、じっと父の横顔を見つめ、感極まったのかわずかにはなをすすった》

 弁護人「同居するつもりはありますか」

 父親「本人が望めば、全面的に協力します」

 弁護人「万が一、もう一度クスリをしていると思われるときは、声をかけてくれますか」

 父親「はい。ずっと気をつけていきます」

 《「終わります」と女性弁護人は質問を終えた。続いて、女性検察官が立ち上がり、優しい口調で父親への質問を始める》

 検察官「しばらく被告と会っていないといいましたが、いつごろからなのですか」

 父親「1年に2、3回ですか。問題が起こるまでは何カ月か会っていませんでした」

 検察官「最後にあったときの被告の様子に問題は感じませんでしたか」

 父親「分かりませんでした。親子の仲が悪いわけではありません」

 検察官「本人から『ストレスが原因』と聞きましたか」

 父親「はい。サーフィンをやっていてほとんど片耳が聞こえません。水が入るので耳の穴が小さくなっちゃったようで」

 《サーフィンを続けてきたことで、耳が聞こえにくくなったという高相被告。父親は右手で右耳を閉じ、そのときの思い出話を法廷で披露した。高相被告もそれをじっと見つめ続けた》

 検察官「サーフィンをすることで耳が聞こえにくくなったと?」

 父親「そうですね」

 検察官「ストレスはサーフィンだけですか」

 父親「サーフィンのことだけでなく、ストレスがたまっていたと」

 検察官「今後実家で同居するといっていたが、別居の可能性もありますか」

 父親「裁判も終わっていないのでそこまでは話していません」

 検察官「別居になった場合も近くに住みますか」

 父親「できるだけ本人のフォローはしようと思っています」

 検察官「仕事の話で、『きっちりした職業についてほしい』といっていましたが、サーフィンをしながらきっちりとした仕事についてほしいということですか」

 父親「本人が何の仕事に向いているのか、本人が何をしたいのかということを尊重したいと思います」

 《父親に対する弁護人の証人尋問が終わった。父親は座ったまま軽く一礼して立ち上がると、稗田雅洋(ひえだ・まさひろ)裁判官にむかって深く頭を下げ、高相被告を見ることなく傍聴席へと下がった》

 《続いて、高相被告に対する被告人質問が始まった。稗田裁判官から「被告、座ってください」と促されると、素早く席に着き、前方の稗田裁判官を見据えた。男性弁護人が立ち上がり、質問に入る》

 弁護人「これから、被告人のことを祐一君と呼んでいきます」

 高相被告「はい」

 弁護人「2通の起訴状があって、8月21日の所持はグラム数が多いですね。9月11日の追起訴については間違いありませんか」

 高相被告「はい」

 弁護人「8月21日の分はどこで入手しましたか」

 高相被告「イラン人から入手しました」

 弁護人「職務質問を受けたときのものも?」

 高相被告「それは奄美大島で拾いました」

 弁護人「すべて拾ったと?」

 高相被告「あとはイラン人から買ったものも2袋ありました」

 《覚醒剤を奄美大島で拾ったことを強調した高相被告。しかし、弁護人は誰もが抱くであろう疑問点を質問する》

 弁護人「普通、拾ったというのは第三者は信用しないけど、入手法を隠しているように聞こえますが」

 高相被告「信じられないかもしれないが、拾ったのは本当です。野外音楽会場のダンス広場で拾いました」

 《座ったままではあるが、わずかに身を乗り出して、高相被告は拾ったことを繰り返し述べた。傍聴席では、首を軽く横に振り、信じられないというそぶりを見せる傍聴人もいた》

 弁護人「いわゆるレイブパーティーですね。落ちていることはあるのですか」

 高相被告「まれにありますね」

 《薬物パーティーとも揶揄(やゆ)されるレイブパーティー。高相被告の「まれに」という言葉には、何度か拾った経験があることをうかがわせた。その後も、弁護人から高相被告への質問が続いていく》

【法廷ライブ 高相被告】(4)沢尻エリカは「知らない」…使用場所の嘘は「法子が逮捕前なので」

 《続いて週刊誌などで報じられた他の芸能人と高相祐一被告(41)の関係について聞き始めた弁護人。そこで、1人の女性芸能人の実名を挙げた》

 弁護人「週刊誌では沢尻エリカさんとの繋がりも報じられましたが、沢尻さんをご存じですか」

 高相被告「いえ。全く知りません」

 《沢尻エリカさんとの関係をきっぱりと否定する高相被告》

 弁護人「会ったことは?」

 高相被告「ないです。僕はほとんどテレビを観ないので、雑誌で顔を見た程度です」

 《続いて、弁護側はなぜ高相被告が職務質問時に覚醒剤を持ち歩いていたのかについて問い質す。罪状認否で高相被告は、青山公園の公衆トイレで使ったと供述していたとする起訴事実を否認している。その点についても詳細に語るようだ》

 弁護人「(警察官の)職務質問のとき、なぜ覚醒剤を持ち歩いていたのですか」

 高相被告「自室に(覚醒剤を)持っていると、法子が僕に隠れて使うんじゃないかと思って」

 弁護人「それだけの理由ですか?」

 高相被告「はい。後は外に出て、後で合流して使おうかと思った」

 弁護人「法子さんが1人で使ったら駄目なの?」

 高相被告「はい。彼女は1回分の量とかよく知らないので危険だから…」

 弁護人「法子さんは覚醒剤になれていないから危険だと?」

 高相被告「はい。そうです」

 《高相被告は弁護人の質問に軽い感じで相づちを打ちつつ、答える際ははっきりとした口調で話していく》

 弁護人「覚醒剤を隠そうとは思わなかったの?」

 高相被告「1回、実家の植え込みに隠そうとしたけどやめました」

 弁護人「この時(職務質問の日)は、自宅で覚醒剤を使ったのはいつですか」

 高相被告「午後9時から9時半ぐらい」

 弁護人「(その場に)法子さんは?」

 高相被告「いないです」

 弁護人「どこに行っていたんですか」

 高相被告「子供の迎えに知人の所へ。その知人が誕生日なので遅くなると」

 弁護人「(法子被告と)合流の約束は?」

 高相被告「ないです」

 《続いて、職務質問と逮捕された状況について質問を始めた。高相被告は首だけを弁護人に向け、微動だにせず答えていく》

 弁護人「8月3日の午前0時過ぎに逮捕されましたが、逮捕前に法子さんに電話しましたね」

 高相被告「はい」

 弁護人「なぜですか?」

 高相被告「法子の母(継母)が弁護士と仲が良く、連絡を取ってもらおうと」

 弁護人「法子さんはすぐに(職務質問を受ける高相被告のところに)来た。来るとは思わなかった?」

 高相被告「はい」

 《法子被告が職務質問の場に来ることは想定外だったようだ》

 《弁護人はここで高相被告のそばに寄り、自宅の見取り図を高相被告に見せる。見取り図を指さしながら答える高相被告》

 弁護人「リビングの隣の祐一君の部屋で覚醒剤を使ったんですか」

 高相被告「はい」

 弁護人「供述調書や起訴状では、青山公園で覚醒剤を使ったとあるがなぜですか」

 《順調に質問に答えていた高相被告だったが、この質問に、言葉を選ぶように、言いよどみながら答える》

 高相被告「はい。当初は…法子の…逮捕前だったので…隠そうと…自分で使うために出たと…」

 弁護人「(供述した)当時は法子さんは失踪中。だから『法子さんが1人で使うと危ないから持って出た』と言えなかったんですか」

 高相被告「はい」

 弁護人「法子さんと後で合流して使おうと約束していましたか」

 高相被告「してません」

 弁護人「なぜ(うその使用場所に)青山公園を選んだんですか」

 高相被告「以前、そこで使ったことがあるので」

 弁護人「(うその)使用状況を説明できると?」

 高相被告「はい」

 弁護人「逮捕直後、榊枝(真一)弁護士がついているが、弁護士には『青山で使ったのはうそ』と言いましたか」

 高相被告「はい」

 弁護人「法子さんが覚醒剤を使っていたと(法子被告の弁護士で法子被告の母親の知人である)榊枝弁護士に言いましたか」

 高相被告「はい」

 弁護人「そしたら『それはまずい。青山公園で使ったことにして下さい』と」

 高相被告「はい」

 弁護人「本当のことを(裁判で)話そうと思った理由はなんですか」

 高相被告「新しい弁護士に言ったところ、『正直に言った方がよい』と言われ…」

 弁護人「法子さんが起訴されて隠す必要もなくなった?」

 高相被告「はい」

 《続いて、千葉県勝浦市の別荘で見つかった覚醒剤についての質問に移った》

 弁護人「次に追起訴状の、勝浦(の別荘)に覚醒剤を持っていた件ですが、誰から入手したのですか」

 高相被告「イラン人です」

 弁護人「その人の名前は」

 高相被告「本名アンソニーです。偽名だったみたいっすね」

 弁護人「(イラン人の)電話番号は押収された携帯電話に入っていますか」

 高相被告「はい」

 弁護人「警察は裏を取った?」

 高相被告「はい」

 弁護人「勝浦で見つかった覚醒剤は使うつもりだったんですか」

 高相被告「いいえ」

 弁護人「どうするつもりだったんですか」

 高相被告「ぐしゃぐしゃだったので捨てるつもりだったんですが、自分はだらしない性格なのでそのままにしていました」

 《高相被告は、弁護人を見つめ、手を膝の上に置いたまま、弁護人の質問に淡々と答えていく》

【法廷ライブ 高相被告】(5)「やっぱサーフィン。あと音楽関係の仕事も」 更生への思い語る高相被告

 《男性弁護人が、千葉県勝浦市の別荘で見つかった覚醒(かくせい)剤について質問する。起訴状によれば、高相祐一被告(41)が別荘で所持していたとされるのは0・097グラム。高相被告は「捨てるつもりだった」と答えたが、弁護人は調書とのズレを指摘した》

 弁護人「検察官調書には、『また集めて使うつもりだった』とありますが」

 高相被告「その件で再逮捕された後、1回だけ調べがあったのですが、2時間のうち勝浦の件について聞かれたのは10分だけで、後は法子の件を聞かれていました。僕は『捨てるつもりだった』と言ったが、調書には反映されませんでした」

 《「法子」とは、高相被告と同時期に覚せい剤取締法違反容疑で逮捕、起訴された妻の酒井法子被告(38)のことだ。高相被告は、別荘で覚醒剤を所持したとして、8月23日に再逮捕されている。高相被告はその後の取り調べでも、再び「捨てるつもりだった」と主張したという》

 高相被告「『捨てるつもりだった』と言うと、(検察官から)『マスコミの餌食になるぞ。金がない奴は(少量の覚醒剤でも)なめるんだ。おまえもそう言え』と言われ、また(勾留=こうりゅう=期間が)延長されるのかと思い、認めました」

 弁護人「それで、こういう内容の調書になったということですか」

 高相被告「はい」

 弁護人「銀紙に入ったものを集めて使うことは可能ですか」

 高相被告「ないですね」

 《どうやら、高相被告は銀紙に包んだ状態で覚醒剤を所持していたようだ。続いて弁護人は、覚醒剤の使用歴について質問した》

 弁護人「検察官の冒頭陳述によると、20年前に興味本位で始め、いったんやめたが去年の夏ごろから使い始めたということですが?」

 高相被告「はい」

 弁護人「入手先は、奄美大島で拾ったもの以外は、イラン人ですか」

 高相被告「はい」

 弁護人「イラン人はすべて同一人物ですか」

 高相被告「えー、そうですね。1年前からは同じです。名前は知りません」

 《うつむき、少し考えるようにしてから答える高相被告。弁護人から「入手先を隠しているということはありませんか」と突っ込まれると、きっぱりと答えた》

 高相被告「ないですね。僕は彼女がやっていることを知られたくなかったので、名前も知らないイラン人から買っていました」

 《「彼女」とは酒井被告のこと。高相被告は覚醒剤を購入する際にも、有名人の妻へ配慮していたようだ》

 弁護人「覚醒剤をやった理由は?」

 高相被告「人間関係がうまくいかず、また、僕はずっとサーフィンをやっていたのですが、耳の軟骨が出てしまう病気になって手術を受けたため、1年近くサーフィンができませんでした。ストレスを解消したいなと思って麻布十番を歩いていたら、薬物の売買を目撃し、(自分から)話しかけました」

 弁護人「人間関係というのはサーファー仲間のですか」

 高相被告「はい」

 弁護人「どういった吸い方をしていましたか」

 高相被告「ガラスパイプに(覚醒剤を)載せ、下から火であぶってストローとかで吸引する」

 弁護人「深く吸い込むとか、いろいろ吸い方があると思うんですが、祐一君の場合はどうですか?」

 高相被告「僕は(肺に)深くためるというよりも、タバコでいったら吸ってすぐに吐き出すという感じです」

 弁護人「使うとどんな気分になるんですか」

 高相被告「時間の流れが速くなり、ストレスやなんかは忘れるというか…」

 弁護人「感情が麻痺するということですか」

 高相被告「はい」

 弁護人「覚醒剤を使うと、今後どうなると思っていましたか」

 高相被告「身体がおかしくなったり、精神状態がおかしくなると思っていました」

 《覚醒剤の恐ろしさを認識していたという高相被告は、弁護人を見つめたまま淡々と質問に答えた》

 弁護人「いつ、プロサーファーになったのですか」

 高相被告「平成6年にJPSA(日本プロサーフィン連盟)のプロテストに合格しました」

 弁護人「その後、プロとしてはどんな活動をしていましたか」

 高相被告「雑誌の取材やビデオの撮影、(メーカーと)スポンサー契約をした服を着たりしていました」

 弁護人「JPSAへの年会費は何年ぐらい払っていましたか」

 高相被告「5~6年ぐらいです」

 弁護人「払わないとどうなるんですか」

 高相被告「大会に出場できなくなるが、また払えば出られる。大会には出なかったんで…」

 弁護人「なぜですか」

 高相被告「人と競い合うのがあまり好きじゃないし、プロはみんなうまいんで」

 弁護人「海外の大会には?」

 高相被告「2度ほど出たことがあります」

 弁護人「月収はどのくらいあったんですか」

 高相被告「40万~45万だったと思います」

 弁護人「家計はどうしていましたか」

 高相被告「決まりはありませんでしたが、外で食べる時は僕が支払っていました。彼女の買い物や大枠の支払いは僕のカードで」

 弁護人「そのことについて、2人の間でいさかいは?」

 高相被告「ありませんでした」

 《しかし今回の逮捕で、酒井被告も所属事務所を解雇され、夫婦ともに無職の状態。弁護人は、今後の展望について尋ねた》

 弁護人「今後、どんな仕事をしたいと思っていますか」

 高相被告「えー、自分はやっぱサーフィンで生きてきたんで、またサーフィンで自分を取り戻したい。あと、音楽関係の仕事をしたいです」

 弁護人「音楽関係の仕事とはどんなものですか」

 高相被告「人と人とをつなげる仲介役をしたいです」

 弁護人「保釈後に長男とは会っていますか」

 高相被告「はい。週2~3回ペースで」

 弁護人「法子さんとは保釈条件の関係で会うことはできませんが、あなたのお母さんに手紙が届いたことはありますか」

 高相被告「はい」

 弁護人「差し支えなければ内容を教えていただけますか」

 高相被告「僕はあまり見ないようにしているんですが…。『大変申し訳ないことをした。家族3人でまた暮らしたい』というようなことが書いてありました」

 弁護人「祐一君はどう思っていますか」

 高相被告「僕もそれを望んでいます」

 《家族は事件によって離ればなれになったが、高相被告は更生への思いをはっきりと語った》

【法廷ライブ 高相被告】(6)「だから!」要領を得ない供述に声荒らげる裁判官

 《弁護側の被告人質問が続く。諭すように語りかける弁護人に対し、高相祐一被告(41)はややうつむき加減で淡々と答えていく。ここで弁護人は、再犯の可能性について尋ねた》

 弁護人「世間ではね、夫婦で覚醒(かくせい)剤やってる奴は100%再犯するって無責任なことを言っている人もいるけど?」

 高相被告「子供に一番迷惑をかけて、これでやったら2度と立ち直れないし、信用をなくすので2度としません」

 弁護人「あなたがそういうもの(覚醒剤を)入手さえしなければ法子さんは(覚醒剤を)やらなかったわけだから」

 高相被告「はい」

 《続いて弁護人は高相被告が受けている通院治療の内容を質問していく》

 弁護人「週に何回?」

 高相被告「先生の方でカウンセリングを受けてます。週に6回です」

 弁護人「祭日は休み?」

 高相被告「はい」

 弁護人「時間は?」

 高相被告「朝10時から(午後)7時半くらいまでです」

 弁護人「先生は入院した方がいいと言ってるの?」

 高相被告「『通院で大丈夫』と」

 弁護人「具体的なクリニックでのプログラムはどういうものなの?」

 高相被告「個人面談やカウンセリングです」

 弁護人「10時から7時半までみっちりやっているわけじゃないんだよね?」

 高相被告「間に休憩を挟んでいます」

 弁護人「クリニックの院長は何て言っているの?」

 高相被告「『3週間できるだけ来てくれ』と言っていましたが、僕は週に1度や2度は行きたいと思っています。僕の第一印象はいい奴だって」

 弁護人「比較的祐一君も院長に対して親和性を感じてると?」

 高相被告「はい」

 《高相被告は弁護人の方をじっと見つめ、尋ねられた質問に対し簡潔に答えていく》

 弁護人「押収された携帯電話についてね。携帯(電話)は、怪しげなものはすべて消去すると言い渡しましたよね。それは了解してますね?」

 高相被告「はい」

 弁護人「私はこの裁判で一番心配なのは再犯の可能性。私はゼロに近いと思っています」

 高相被告「はい」

 弁護人「私が週1回事務所に行って顔を合わせたいと考えています。5年くらい。約束できますか」

 高相被告「はい」

 《質問に対して「はい」と答えることが目立つようになってきた高相被告》

 《ここで弁護側の被告人質問が終わり、続いて検察側の被告人質問に移った。検察官はまず高相被告が不自由だと話した左耳を気遣いつつ、すぐに高相被告の供述内容について問い始めた》

 検察官「左耳は大丈夫ですか」

 高相被告「はい」

 検察官「青山公園で使用したとうそをついた理由は?」

 高相被告「法子がどのくらい(覚醒剤の)量をやるか心配だったのと、後で合流して自分でやろうかなと」

 検察官「使用場所についてうそをついた理由を聞いているんですが、答えとぴったりと合ってるとは思えないんですが?」

 高相被告「法子と一緒に吸おうなんてとても言えなかったので」

 《高相被告の要領を得ない態度に、検察官は次第にいらだちを募らせていく》

 検察官「何で嘘をついたのか分からないんですが?」

 高相被告「はい。でも嘘を言ってしまいました」

 検察官「『まず覚醒剤を奥さんが使っている(のが発覚する)というのはどうしても避けなければいけないと考え、最後にマンションで使ったことにするよりも奥さんとの関係が薄くなるとなと思って』とありますけど、それでいいの?」

 《高相被告はそのまま表情を崩さず、検察官の方をぼんやりと眺めている》

 検察官「じゃあね、あなたは逮捕後に、警察官、検察官に『自宅でも使ってる。奥さんも使ってる』と話してますよね。奥さんとの関係を薄くするという理由はなくなっていると思うんですが。なぜ『青山公園』とうそをついたの?」

 高相被告「その後は彼女(酒井法子被告)を守ろうとして…。弁護士さんと話したら『正直に話した方がいい』ということで話しました」

 検察官「なぜ本当のことを言わなかったの?」

 高相被告「毎日毎日(取り調べで事情を)聴かれて、いつだったか覚えていません。何日に聴かれたんですか」

 《同じ質問を繰り返す検察官に対し、高相被告は語気を強めて反発心をあらわにした》
 検察官「日付だと8月の19日ですね」

 《その後も質問内容とかみ合わない高相被告の供述に業を煮やしたのか、稗田雅洋裁判官が検察官の質問に割って入った》

 裁判官「あなたが『青山公園』って言ったそのころには、奥さんは捕まって、『覚醒剤やった』と認めていたから隠す必要なかったのでは? という(検察官の)質問です」

 高相被告「自宅で使いましたよ」

 《ここで裁判官もいらだちを露わにする。声が一段と大きくなる》

 裁判官「だから。起訴された事実について、自宅ではなく青山公園でと話してますでしょ? 本当のことを説明しなかったでしょ?」

 高相被告「それを使用したっていう以前、『そこ(青山公園)で使った』と言ってしまいました」

 検察官「先ほどから言ってる(うそをついた)理由は、法子さんが失踪(しっそう)している段階のことであって、捕まってるんだから、うそをつく理由はないのでは」

 高相被告「そこまで考えてなかったですね」

 《やや投げやりに答える高相被告》

 検察官「取り調べで嘘をついてもいいと?」

 高相被告「そこまで、今みたいに突っ込まれて(聴かれ)なかったんで」

 《検察官は再度同じ質問を繰り返すが、最後までかみ合うことはなかった》

 高相被告「頭の中のが混乱していたと思います」

 《法廷内では要領の得ないやりとりが続いていた。高相被告は、検察官がなぜ同じ質問を繰り返すのかが分からないのか、当惑した表情を浮かべていた》

【法廷ライブ 高相被告】(7)「あのー両方なんですけどー」「そうっす」若者言葉で答える被告にキレ気味の検察官

 《高相祐一被告(41)に対する検察官の質問が続く。覚醒(かくせい)剤を使用していた場所や使い方など、質問の内容は細かくなっていく》

 検察官「あなたはいつも“あぶり”という方法で覚醒剤を吸っていたんですよね?」

 高相被告「はい」

 検察官「今回は青山公園で吸っていたようですが、いつもはどこで吸っていたんですか」

 高相被告「(南青山の)自宅のマンションです」

 検察官「(青山公園で覚醒剤を吸引したとされる)8月2日の行動についてうかがいます。自宅から覚醒剤を持って出たと話していましたが、それは『奥さん(酒井法子被告)が使っちゃうから隠したい』という理由でいいんですか」

 高相被告「はい」

 検察官「今日(弁護側が)提出した供述調書には、『明確な理由はない』と書いてあるんですが…」

 高相被告「あー、そうですね、ないですねー」

 検察官「???」

 《明らかに矛盾した高相被告の受け答えに、検察官は不審な表情を浮かべる。高相被告は、少し体を傾けた姿勢のまま、表情を変えずに検察官の方を見ている》

 検察官「隠すためなのか使うためなのか、どっちなんですか」

 高相被告「あのー両方なんですけどー、ダブるんですけどー、まずは隠そうとした、って方が正しいですね」

 検察官「隠そうとしたのは植え込みでしたね」

 高相被告「はい、あ、でも隠すのはやっぱりやめて、(妻の酒井被告と)合流して吸おうと思いました」

 検察官「あなたはこれまでに、ときどき実家にも隠していたんですよね?」

 高相被告「はい」

 検察官「お父さんには話していないのですか」

 高相被告「はい」

 検察官「今もですか」

 高相被告「はい」

 検察官「…これから面倒を見てもらう人ですよね。それは、問題があるんじゃないですか」

 高相被告「そうっすね、問題あると思いますね」

 検察官「…」

 《検察官の質問に、若者言葉で調子よく答えていく高相被告。検察官はあきれた表情を浮かべている》

 検察官「質問を続けます。野外ライブ(レイブと呼ばれるダンスパーティー)で吸引パイプを拾ったと話していましたが、本当に落ちていたんですか」

 高相被告「はい」

 検察官「どのように落ちていたのですか」

 高相被告「踊ってて、足になんか当たったので『なんだー?』って見たら吸引パイプでした」

 検察官「覚醒剤や吸引パイプは、そんなに落ちているものなんですか」

 高相被告「よくありますね」

 検察官「ほかにも見たことはありますか」

 高相被告「そうですねー、『トイレで落としちゃった』って話してるのを聞いたこともありますし」

 検察官「そうではなく、『覚醒剤が落ちているのを見たことがありますか』と聞いているんですが?」

 高相被告「ああ、覚醒剤じゃないですね」

 検察官「え? あなたは『落ちている』と…」

 高相被告「いや、覚醒剤じゃなくて…」

 検察官「私の質問を聞いてから答えてください!」

 《質問の途中から答え始めてしまう高相被告の受け答えを、検察官は強い口調で制した》

 高相被告「はい」

 検察官「それで、落ちているのは見たことがあるんですか」

 高相被告「はい、覚醒剤じゃなくてほかの薬なら見たことがあります。覚醒剤というか、ドラッグ全般なら、という意味です」

 《相変わらず、少し傾いた姿勢で話す高相被告。検察官の質問が続く》

 検察官「ところで、あなたはライブで拾った覚醒剤を使ったのですか」

 高相被告「はい」

 検察官「誰のものか分からないのに、使ったのですか」

 高相被告「はい」

 検察官「本当は拾ったんじゃなく、別のルートから入手したものではないのですか」

 高相被告「いいえ」

 《検察官の鋭い質問に、淡々と答える高相被告》

 検察官「ところで、あなたは1回やめて、また使ってしまったのはなぜですか」

 高相被告「そうですねー、そこまで悪いことと思っていなかったし…」

 検察官「今後、使いたくなったらどうしますか」

 高相被告「今回、家族や子供、いろんな人に迷惑をかけてしまって、そっちの方が重かったので…。そうなったら、その人たちに相談します」

 検察官「以前、夫婦でもやめようとしてやめられなかったことがありましたね。奥さんがやりたそうだったらどうするんですか」

 高相被告「自分がやらなければ、妻には入手ルートがないので…」

 検察官「やりたいと言ったら?」

 高相被告「カウンセリングを紹介しますね」

 《検察官の質問はここで終了した。高相被告の軽い受け答えからは、最後まで反省の様子があまりうかがえなかった。続いて、弁護人による再質問が行われるようだ》

【法廷ライブ 高相被告】(8)完「最後に何かありますか」と裁判官に促され語った一言は…

 《弁護人が高相祐一被告(41)に再質問を始めた。覚醒(かくせい)剤の使用状況などについて、再度確認したいようだ》

 弁護人「警察官に対する8月27日の調書では、1年前からは1パケあたりの量が今までの3分の1になっていた。これは正しいですか」

記事本文の続き 高相被告「はい」

 《さらに弁護人が他の証拠について「自宅を出てどの方向に歩いたか」などと尋ね始めたが、稗田雅洋裁判官に「それは聞く必要があるのですか。時間がない」と遮られ、質問をとりやめた。ここから、裁判官による質問が始まった》

 裁判官「奄美で拾った覚醒剤はきんちゃく袋に入っていたものですか」

 高相被告「いえ、ペンケースみたいなのに入っていて、自分のきんちゃく袋に入れました」

 裁判官「あなた、逮捕されたときにいろいろきんちゃくに入れて持っていたけど、それは拾ったのではないのですね?」

 高相被告「はい」

 裁判官「ガラスパイプは拾ったの?」

 高相被告「それは拾ったものです」

 《高相被告は緊張しているのか、稗田裁判官の質問に、「はい、はい」と速いペースで何度も相づちを打ちながら答えている。裁判官に拾ったものと買ったものの区別を求められると、高相被告は「4袋のうち容量の多い2袋が拾ったもの」と指で数を示しながら説明する場面もあった》

 裁判官「非常に少なかったのがイラン人から買ったものですね。すると拾ったものは誰のものですか」

 高相被告「わからないですね」

 裁判官「わからないんですか。ふーん」

 《質問を終えると、裁判官は高相被告に、覚醒剤を止める決意を問い始めた。高相被告は証言台にしっかりと立ち、裁判官の方をまっすぐ見ている》

 裁判官「あなたは、覚醒剤は一度始めるとなかなか止めることが難しいという話を聞いたことがありますか」

 高相被告「はい」

 裁判官「それはどうしてだと思いますか」

 高相被告「精神依存があって…。頭ん中で、肉体じゃなくて、頭で覚えているからと思っています」

 裁判官「疲れを感じさせない、人によっては元気が出たように感じる。嫌なことがあると使いたくなってしまう。だから止めるのが難しいのですね?」

 高相被告「そうですね」

 裁判官「止めるには固い決意が必要だとわかりますか」

 高相被告「はい」

 裁判官「先ほどの話にもあるように、奥様と2人で固い決意をもってやめないと、1人が始めるともう1人も始めてしまうのはわかりますか」

 高相被告「はい。わかりました」

 《最後に裁判官は「大丈夫ですか?」と強く念を押し、質問を終えた》

 《続いて、最後の使用場所を東京都内とする訴因変更が認められ、被告人質問が終わると、高相被告はしっかりと礼をして被告人席に戻った。次は検察側の論告、そして弁護側の最終弁論だ》

 検察官「被告人は積極的に密売人に働きかけ、ここ1年間は2週間に1回の割合で繰り返し使用していて依存性が高い」

 《検察官は被告の依存性の高さや入手ルートを持つことによる再犯の可能性を指摘。そして…》

 検察官「懲役2年を求刑します」

 《一方、弁護側は入手ルートなど犯情の自白や両親らによる更生支援を挙げて、執行猶予付きの寛大な判決を求めた》

 《高相被告は、弁護人が「長男と過ごせる時間を大切にしており、家族との新たな出発を期しています」と話すと、被告人席で正面を見据えながら何度も瞬きしていた》

 裁判官「では被告人、前へ。最後に何かありますか」

 高相被告「えー、このようなことは二度としないと固く誓います。以上です」

 《高相被告はよどみなく答え、結審すると裁判官、検察官、弁護人の3方向に礼をした。裁判所職員が傍聴人に対し、傍聴席から一斉に退席するよう求めた。高相被告は立ちながら、リラックスしたようすで、弁護人となにやら話している》

 《判決は11月12日午前10時に言い渡される》

目次へ

15、Webマガジン月刊精神分析&分析家ネットワーク



より大きな地図で インテグレーターマップ を表示

 大沢秀行氏(インテグレーター名:惟能創理)の精神分析を受け、インテグレーター(分析家)を目指し理論を学んだ人たちが、東北・関東・関西を中心に実際にインテグレーターとして活動しています。  夏には、那須で恒例の「分析サミット」が開かれ、症例報告・研究などの研修会も行っています。  私たちインテグレーターを紹介します。(敬称略)  メールに関して、☆を@に変換したメールアドレスにメール送信願います(スパムメール対策)

目次へ

Copyright (C) LACAN MENTAL SCIENCE Lab. All rights reserved.
Powered by Movable Type 3.34